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ワンピース二次創作、ゾロたしのSS中心です。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
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やっと更新でけました~(T_T)
よがっだ~~。
拍手ポチっとありがとうございます。感謝~!

「裸足の花嫁」3 〈完〉です。

「つづきはこちら」からどうぞ

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「おや、これは、一体どこの鼠が入り込んだんでしょう?
 私が選んだ花嫁をは、ちょっと違うようだ。」

目の前に立っていた男は、黒いフードを被り、長いマントで身体を覆っていた。
フードの下から、赤い目だけが暗闇に不気味に浮かんでいる。

たしぎは、時雨を手に飛び退いた。間合いを取ろうとした。
しかし、着なれないドレスの裾を踏んで、バランスを崩す。
黒い男は、余裕があるのだろうか、たしぎの慌てる様子を笑うように眺めている。

「くっ・・・」
時雨で切り込みを入れ、ビリビリッと長い裾を引きちぎる。膝から下が軽くなった。
これで、動ける。
時雨を構え、男を見据える。
「覚悟しなさい。私は海軍です。あなたを、捕らえます。」
「ふふ、なんとはしたない。これでは、船まで連れていくことは出来ないようですね。
 この場で、死んでもらいましょう!」
男が飛び上がる。

マントを大きく広げたかと思ったら、それは男の翼だった。
尖った耳に、赤い瞳、手足の爪が鋭く黒く光っている。
ゾオン系コウモリ、悪魔の実の能力者か。
男は空から降下してきては、鋭い爪でたしぎの腕や肩を切り裂いていく。
たしぎの刀は、飛んでくる男にかわされてしまう。
男は、前に後ろにと、くるくるたしぎが構え直すのを、薄笑いを浮かべながら、楽しんでいるようだ。
弱いものをいたぶるように、少しずつ体力を奪っていく。

しゅっ。時雨が男の翼をかすった。微かな手応え。

急に男の目が大きく見開かれた。
前から急降下してきて、たしぎの肩を通り越し、後ろに回った瞬間、
ぐいっとたしぎの頭が仰け反った。
男の爪が、たしぎのベールを鷲掴みにし、引っ張ったのだ。
「わっ!」
その反動で、そのまま後ろに仰向けに倒れ込んだ。
ドサッ。背中を思い切り石の祭壇に打ち付けて、息が止まりそうになる。
必死に目を開けると、足でベールを踏みつけ怒りを現わにした男が見下ろしている。
「遊びは終わりです。」
時雨を振るも、届かない。右の肩にもう片方の足の爪がくい込み、時雨が手からこぼれ落ちる。
男の無言の笑みが残酷さを感じさせる。
くっ!なんとかして、自由になろうと身体をねじるが、傷を深くしただけだった。
男を睨みつけると、たしぎの上を何かが飛び越え男に飛びかかった。
「ぐわっ!」
男は、叫び声とともに、後方に転げ落ちる。
肩と頭が軽くなった。
急いで、時雨を手にして、コウモリ男が落ちた祭壇の下を覗く。

「ロロノアッ!」
チラッと呼ばれた男が、たしぎを見上げる。
そして、体勢を立て直したコウモリ男に向き直ると、静かに剣を抜いた。
圧倒的な威圧感に、コウモリ男は空に舞い上がる。
ゆっくり空を見上げ、鬼鉄を振るう。
「オレから逃げられると思うなよ。」
ゾロの放った斬撃は、男の翼をボロボロにし、ドサリと祭壇の上に落ちる。

「後は任せた。」
下から聞こえたゾロの声に、たしぎは、最後の一撃を加え、男は動かなくなった。

はあ、はあっ。
戦いの後に息が上がっていることに気づく。口の中がカラカラだ。

ゆっくりとゾロが祭壇に上がってくる。
たしぎを見ている。
「あ、ありがとうございます。でも、どうしてここが・・・」

「あいつが案内してくれた。」くいっと、この闘いを息を呑んで見守っていた青年を指し示す。

「キト!」

「レインは、レインは無事なの?」
たしぎの側までやって来たキトが頷く。
「よかった・・・」
はぁっと大きく息を吐いた。

ゾロはコウモリ男の手足を縛り、その場に転がす。
「これで、逃げられはしないだろう。ま、動くのも無理か。」

キトは、祭壇に転がった男を見下ろした。
「何故、レインを選んだ。お前が決めたのか。」
男は不敵に笑うと首を振った。わかるだろ、とでも言いたげに。
そして、ガクッと力尽き、気を失う。
ぐっと唇を噛んでいたキトは顔をあげると、ゾロを見つめる。
「行ってくる。」

「ああ。」ゾロが答える。
だっと駆け出したキトの背中を見送ると、さてと、たしぎの方に向き直る。

髪はボサボサで、かろうじて破れたベールがのっている。
オーガンジーのフワッとした生地のドレスは、フリルが膝下から無くなっている。
素足が大きく見えて、肩には爪の傷に血がにじんでいる。

プッと吹き出すと「ひでぇな。」と一言。
「な、なんですかっ!」
ゾロに近づこうと足を踏み出した瞬間、痛みに顔をしかめる。

闘いに夢中で気付かなかった。
裸足で動き回った両足は、小さな小枝や石を踏んで傷だらけだ。

ふわっと身体が軽くなったと思ったら、ロロノアに抱き上げられていた。
「ちょっ、な、なにするんです!」
「ばか、暴れるな。」
バランスを崩しそうになるゾロにしがみつく。
今更ながら、ドレス姿が恥ずかしい。

ゾロはたしぎを抱えたまま、祭壇を降りると湖のほとりの岩にたしぎを座らせた。
そのまま、じゃぶじゃぶと湖につかり、腕の手ぬぐいを外す。
冷たい水に浸すと、軽く絞って、たしぎの足を撫でる。
うっ。水が傷にしみて、思わず顔をしかめる。
ゾロは少し手を止め、また、傷を洗い出す。
丁寧に、刺さった枝や小石を取り除いていった。
月明かりだけが二人を照らす。
束の間の静かな時が流れた。

「どうして、ここに。」
「お前の服着た奴に聞いた。」
「助けに?」
「・・・助太刀だ。オレが居なくても、倒せたろ。」
どうだろうか。

「これで、よし。さ、行くぞ。」
湖からあがると、時雨を自分の腰に差し、再びたしぎを抱き上げる。
「あ、あの、ちょっと、ロロノア。」
「あいつ捕まえに、海兵呼んでこないといけないんだろ。この足じゃ、動けねぇ。」
「でも・・・」
歩き出したゾロに、顔をあげられないまま、手を回す。
こんな格好で、なにもロロノアに抱えられなくてもいいのに。
勝手に、顔が火照ってくる。
「鳥みてぇだった。」
ゾロの言葉に顔をかしげる。
「あそこにたどり着いた時、なんか白い鳥が、くるくると舞っているように見えた。」
綺麗だった。
口にこそ出さないが、たしぎの剣を振るう姿を、ゾロは気に入っていた。
上手く言えないが、凛とした構えが、残心が、いつまでも見ていたいと思わせた。

「いいもんだな。」ゾロが、耳元でささやく。顔は見えないが、絶対笑っている。
「・・・バカ。」
ゾロのぬくもりが、心地良かった。

 

********


「ちょっと~、何よこの船。お宝がなんにもないじゃないのよ~!」
東の岬に泊めてあった商船に忍び込んだナミとルフィ。
目当ての宝が見つからず、期待外れだった。

「なんなの?この人達は。」
そう言いながら、檻の鍵を次々に外していく。
ナミが持っているのは、さっき操舵室から失敬してきた鍵の束だ。
忍び込んだ船底には、捕えられた人達がたくさんいて、口ぐちに
助けを求めていた。人々の言葉を繋ぐと、皆この近隣の島々の者で、この船に捕えられたようだった。

「ははぁ、こういうカラクリな訳だ。」
「ん?」一緒に鍵を壊してまわっているルフィが首をかしげる。
「メシがねぇぞ。メシくわせろ~~」
逃げ出した人々とともに、船内を制圧していく。
もともと、わずかな戦闘要員がルフィの相手になるものでなく、バラバラと船を捨て逃げ出していった。

急に強い光が船に当てられる。
「我々は海軍だ。この船は、海軍によって拿捕される。
 抵抗する者は捉える。」
わぁ~~と歓声が上がる。
「ん?なんだ、人質が全部解放されてるじゃないか!」
「どういうことだ?」
思わぬ展開に、驚く海軍だったが、人質救出を第一に動き始める。
その様子をみながら、森に消えていった二人の人影を、スモーカーは忌々しげに見つめていた。
まったく、また、あいつらか。

「うわぁ~~、危ねぇ。ケムリンだ。見つかると厄介だもんな。」
「ん~~、悔しい!たったこれだけしかなかったぁ。」
ナミの背中には、いつ見つけたのか、なにやら大きくふくらんだリュックがあった。


*****


儀式が終わり、人気がなくなった祭壇に一人座り込む初老の男がいた。
その背中を見つめている若者は、キトだった。

キトは、自分の想いのたけを思い切りぶつけた。
村長として、父親として男は、それを静かに受け止めた。
そして、一言、謝罪の言葉を口にする。
「すまなかった。」
「・・・父さん。」

「キト、行くがよい。私は自分が何をしたのか、よく解っている。」
「・・・でも。」
「どうやら歳をとりすぎたようだ。さあ、あの子が待っているのだろう?
 さあ、行っておやり。」

キトは何度も振り返りながら、祭壇を離れた。

 


港に戻ると、レインは軍艦に保護されていた。キトの姿を見つけると走って側にやって来た。
「キト!」
硬い表情のままのキトは、この船の船長に尋ねる。
「父は・・・この村の長は、どうなるんですか?」
葉巻を咥えた白髪の船長は、チラッとキトを見ると、
「幸い、生贄にされた者は皆、助け出された。だが、罪には問われるだろうな。
 あとは、裏切られた島民の怒りをどうするか・・・島を去るも、引退するも、居直るのも、
 それぞれだろう。」

「・・・・わかりました。」
ギュッと目を瞑り、拳を握りしめる姿に、スモーカーは、この島は大丈夫だと思えた。


*****


東の空が白む頃、ようやく港に現れた人影。

「ロロノア、夜が明けます。」
「わかってるって!ほれ、着いただろうが。」

海軍の船が係留している岸に近づき、
ロープを結びつける丸みを帯びた杭にたしぎを座らせる。
さほど時間はかからずに、見張りがたしぎを見つけるだろう。
「じゃあな。」
その場から、離れようとすると、レインが船を走り降りてきた。
「たしぎ!」
名を呼びながら、駆け寄り、たしぎに抱きつく。
「レイン。よかった、無事だったんですね。」
たしぎも嬉しそうだ。肩の傷の痛みに少し顔を歪める。
「大丈夫?ひどい傷。」
レインは肩に掛けていたショールをたしぎに巻く。
少し肌寒く感じる夜明けに、ふわっと暖かくなった。

「ありがとう。」
「ううん、私の方こそ。・・・ありがとう。」
二人、微笑みあう。

街の方に、顔を向けると、ゾロの後姿がもう小さくなっている。
レインはもう一度大声で叫んだ。「ありがと~~~。」
ゾロが、歩きながら右手を軽く振ったように見えた。
二人、その姿が朝靄の中に消えるまで、見送っていた。

さあまた新しい一日が始まる。
風が髪を揺らし、水面が朝日を浴び輝きを放つ。
たしぎは、立ち上る空気を胸一杯に吸い込んだ。


〈完〉


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ゾロとたしぎは公認カップルと信じて疑わない。
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