ワンピース二次創作、ゾロたしのSS中心です。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
一方、その夜、仕事を終え、入浴も済ませ、自室へ戻ったたしぎは、
濡れた髪を拭きながら、ボーっとしていた。
ロロノアの前では、何もかも見透かされてしまうようだ。
私は海軍で、それなのに海賊を見逃したことがある。
少尉となって、なお正義がなんなのか未だに迷いがある。
剣士であっても、いまだに自分の守りたいものさえ守る自信がない。
女に生まれ、どうしようもできないのにそれを否定したがっている。
男に生まれたかったと言いながら、口紅を塗る。
なんて、矛盾だらけなんだろう。
あの人の前に立つだけで、全てが崩れ去る。
必死に纏っていた鎧が、消えてなくなる。
自分の矛盾を突きつけられる。
そんなロロノアが、名を呼んでくれた。
「たしぎ」と。
わかっています。私はたしぎです。
ただの、たしぎです。
それ以外の何者でもない。何者にもなれない。
わかっています。ロロノア。
タオルで、髪をくしゃくしゃに拭いて、鏡を見つめる。
そこには、ただの私がいる。
わかっています。私は私らしく生きていくだけ。
これで、いいんですよね。
なんだか、ほっとして、たしぎは、少し笑った。
また、口紅をつけてもいいのかもしれない、そう思えた。
PR
この記事にコメントする