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ロロ誕!めでてぇ!
2011年11月11日
1が6つも並んでるんですよ~~!
すごいねっ!うん、今日はHappyに
違いない!!!(^^)
ゾロの誕生日のお話し。
「つづきはこちら」からどうぞ
甘いよ~~~!(笑)
>ひゅうさんへ
なんというシンクロ!
ちょうど書いてるゾロ誕話に
ばっちし、リク場面が!
楽しんでいただけたら、嬉しいです。
居ない。ここにも居なかった。
この日、何軒目かの酒場のドアを閉めると、
肩を落とし、下を向く。
ここは街はずれで、他を探そうにも
もう何処を探せばいいのか、途方に暮れる。
たしぎは、どうしても今日、ゾロに会いたかった。
昨日、麦わらの一味の目撃情報を得てから、
ずっと探し回っていた。
見上げれば、月がもうだいぶ高くなっている。
今日が、もう過ぎてしまう。
ガックリと、項垂れて、港へ戻る道をたどる。
そうですよね、相手は海賊、私は海軍。
追うものと逃げるもの。
会おうと思ったって、会えるものではないんですね。
今更ながら、ゾロとの関係を痛いほど思い知る。
私は何をしようとしたかったんだろう。
海軍なのに・・・
いつしか、港への道を外れ、気が付けば、松林の中。
波の音をたよりに、明るい方へ向かった。
松林を抜けると、目の前に砂浜が広がっていた。
月明かりが、美しく海面を照らしている。
どこで間違ったのか、たいして不思議に思わずに
海岸線に沿って歩きだす。
南に向かえば、港にいづれ着くだろう。
すると、前方からゆっくりと歩いてくる男が一人。
あれほど探し回った相手が、自分からやって来たようだ。
ロロノアだった。
ゾロは、たしぎの姿を認めると、ニヤリと笑いながら
「何の用だ?」
と自分から尋ねた。
先刻まで、船で仲間たちがゾロの誕生日の宴を開いてくれた。
それが終わり、照れくささも重なって、散歩してくると
一人船を出てきたのだった。
「ロロノア!こんな所にいるなんて!
どれだけ探したと思ってるんですかっ!」
思いもかけない急展開に、突っかかってしまう。
「そう言われてもなぁ。」
腕を組んで、顎に手をやる。
「昨日からずっと探してたんです。
あなたに言いたいことがあって・・・」
「なんだ?」
どこか楽しそうな面持ちだ。
面と向かって聞かれると、かえって言いにくい。
「あの・・・私、ロロノアに出会って、
本当に強くなりたいと思ったんです。
だから、あの、あなたのお陰です。
ありがとう、ロロノア。」
少し俯く。
「だから、今日は、生きていてくれて・・・
生まれてきてくれて・・・ありがとう。」
もう真っ直ぐにゾロの顔を見ることができなくなっていた。
「素直に、誕生日おめでとうって言えばいいだろ。」
完全にゾロが笑っているのが俯いてても分かった。
「ちっ、違います!なんで海軍の私が、海賊のあなたに
誕生日おめでとうって、言わなきゃなんないんですか?」
躍起になって否定すると、たちまち後悔した。
たしぎは、くるっとゾロに背を向ける。
こんな事、言いに来たんじゃないのに。
「あぁ、そうだな。」
ゾロは近づくと後ろから、たしぎをふわっと抱きすくめる。
一瞬、顔をあげたたしぎが、再び俯く。背中はゾロに預けたまま。
「なんか、くれんのか?」
耳元でゾロが聞く。
「ご、ごめんなさい。何も用意できなくて。」
あ、なんで、謝ってるんだろ、私。
「んじゃあ、これ、もらう。」
柔らかく、耳朶を噛む。
ゾクッと背中が、刺激に震える。
「ひあっ!ダ、ダメです。耳は。」
「じゃあ、ここは?」
ゾロの唇が首筋をたどる。
「んっ!く、首もダメです。」
柔らかなロロノアの髪の感触が、くすぐったい。
「じゃあ、どこならいいんだ?」
肩に廻したゾロの腕に力がこもる。
たしぎは、手を添えて、腕をそっと外す。
ゆっくりと向き直ると、手を背中に廻し、ゾロを優しく抱きしめる。
「・・・全部、ダメです。」
言ってることと、やってることが反対じゃねぇか。
笑いだしそうになりながらも、胸に寄り添うたしぎを
しっかりと抱きしめる。その柔らかさを確かめるように。
お前は、いろんなもん抱えて、
オレの前にやって来る。
言いたいことも言えなくて。
だから、何を言われても、なんともねぇ。
「全部ダメかぁ、そんでも、ありがてぇな。」
たしぎが、嬉しそうに笑った。
その笑顔が、心からゾロを幸せにする。
最高の贈り物だ。
空気は澄んで、冬の気配を感じる程、冷たい。
腕の中のぬくもりを、ゾロは、いつまでも離したくなかった。
〈完〉