[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
麦わらの一味、再集結!
そして、ゾロ誕、明日です!
前夜祭です。
二夜完結です。
ゾロが片目になったこと、みんな、何も言わないの?
心配しないの?
しないんだろうなぁ。
言わないんだろうなぁ。
でも、思ってるよね。きっと。
そんな想いを、捏造してみましたっ!
「ありがとう」
再会の喜びと新世界への期待と共に、
魚人島に向かって出港したサニー号。
海の中の航海では、いきなり目の前にサメや巨大なエイが現れて、
驚くことばかりだった。
そんな、ある日のこと。
その夜の見張りに立つゾロに、ナミは声を掛ける。
「ゾロ、頼んだわよ。あの海底の岩を目印にね。」
「ああ、まかせとけ。」
その後も、ナミは立ち去ろうとはせず、ゾロの傍らに立つ。
「・・・なんだよ。」
ナミは海を見つめながら、つぶやく。
「なにやってんのよ。ルフィもあんたも、おっきな傷つくって。」
「ん?・・・ああ。なんでもねえよ、あいつは。」
「あんたもでしょっ!スリラーバーグの時だって、一人で死にかけるし。
2年前のシャボンディ諸島の時だって、傷もいえてないのに無理して、殺されかけて。
ほんと生きた心地がしなかったわよ・・・」
ナミが、つらそうな顔をする。
「おまえ、いい女になったな。」
「な、なによっ、いきなりっ!って、ひとの話聞いてんのっ!あんたはっ!」
少し赤くなるナミ。
それを見てゾロは少し笑う。
「もう、バラバラにはなんねぇよ。この一味は。こうやって、再会できたんだから。
ルフィは強くなったな。エースのこと一人で乗り越えやがった。
安心しろよ。」
「ふふ、どっから来んの?その自信。」
ナミが笑う。
「さあな?」ゾロも、笑う。
「さて、もう寝るわ。おやすみ。見張り頼んだわよ。」
と去り際に、思い出したように、ゾロにそっと耳打ちをする。
「・・・・」
それを聞き、「ああ。」とゾロは頷いた。
頭をガリガリとかいて、空を仰いだ。
*********
夜半過ぎ、ガタッと音がして、フランキーが見張り台にやってきた。
「よお、ごくろーさん。」
と言って、ゾロの向かいにどかっと腰掛ける。
今更だが、フランキーの変身ぶりには驚かされた。
生身の部分なんてあるのだろうか、とゾロは思う。
「よお。どうしたんだ?こんなとこに来るなんて、珍しいな。」
「そうか?どうだこの部屋の居心地は?」
「ああ、文句ねぇ。」
「そうか、そりゃ、よかった。変えてほしい箇所があったら、
いつでも言えよ。」
「ああ、ありがと。」
「それより、オレは今、世紀の大発明の開発中だ。
ま、出来上がったら、お前に真っ先に試させてやんからな!
期待しとけよ。」
「なんだよ、世紀の大発明って?」
いきなり、何を言い出すんだコイツは、と思いながらも、一応聞いてみる。
「へへ、スーパースペシャル、アイスコープ剣士用、ってな。」
鼻をこすりながら、フランキーが教えてくれた。
「・・・いや、変態には、なりたくねぇ・・・」
と言ったが、変態の言葉以外聞こえなかったようだ。
でも、気持ちだけありがたく受け取っておこう。
フランキーは一通り、部屋のたてつけをチェックすると、降りていった。
*********
朝日が昇ったのか、辺りが明るくなり始める。
サンジは、もう起きてるようだ。朝飯のいいにおいが上まで漂ってくる。
一身に朝日を浴び、息をゆっくり吐き出す。
それを数十回繰り返し、「よし。」と呟く。
気が満ちるこの時間が、ゾロは好きだった。
ウソップが登ってくる。
「よお、起きてるか?飯食ってこいよ。見張り変わるぜ。」
「ああ。」と返事をし、ウソップの身体を眺める。
「ウソップ、お前いい身体になったな。」
「おうよ。もう、守ってくれとは言わないぜ。」
胸を張って答える。そして、おもむろに、
「ゾロ、お前後悔してねえか?」
と聞いてきた。
ウソップは、聞きにくいことでもストレートに聞いてくる。
それは、聞かれたほうもいやではなかったし、素直に答えることができた。
一種の特技なんだろう。
「いいや。」何の力みもなくゾロは答える。
「お前、この二年どこにいたんだ?」
「・・・鷹の目のところだ。」
「!!・・・じゃあ、その目も!」
「まあ、そんなとこだ。」
ウソップは、ゾロとミホークの一戦は、直接は見ていない。
ココヤシ村に遅れてきた時には、もうあの深い傷をおっていた。
後でサンジから、ミホークにつけられた傷だということを聞いた。
ゾロの二年を想い、唾を飲み込む。
自分を殺せる程の男と、共に二年も過ごしていたのか。
でも、今のゾロからは気負いも、殺気も感じられない。
ものすごく穏やかだ。
なにを乗り越えてきたのだろうか。
ウソップは考えていた事を口に出す。
「なあ、あの赤い魚みえるか?」
「ん?・・・ああ。」少し目を細め、ウソップの指差す方向を見つめ
頷く。
「オレは、あの魚の目の周りの黄色い模様も、はっきり見えるぜ。
なんたって、一流の狙撃手だからな・・・」
「ああ。」同意して頷く。
「だから、オレがもし先に死んだら、この目、お前にやる。」
「縁起でもねえ。」厳しい顔をしてゾロが答える。
「いいか、もしもの話だ。オレだってみすみす死ぬ気はねえよ。
もしも、だよ!いーか、勘違いすんなっ!」
言ってから、照れくさくなって、あわててごまかそうとするウソップを見て、ゾロは、いきなり肩を組んだ。
「見張りはいいから、朝飯食おうや。」
そのまま、扉を開けて出ようとするも、ガンッと思い切り、出口に頭をぶつけてしまう。
「何やってんだよ!見えてねえじゃんかよ!」
ウソップが、ゾロの身体を支えようとするが、それを軽く振り払って
一人で先に下に降りて行く。
「うるせー。気ぃ抜いてただけだっ!」
ウソップには、その顔は笑ってたように見えた。
********
昼も過ぎ、そろそろおやつの時間、ゾロがあくびをしながら起きてきた。
取り分けられていた遅い昼食をとる。
食堂にロビンが入ってくる。
「おはよう。」
「んあ。」口を動かしながら返事をする。
ロビンの手には、小さな鉢植えがあった。
うすい紫色のトゲトゲした花が咲いていた。
ゾロはそれをジーっと見つめ、口の中のものを飲み込む。
「それ、見たことあんな・・・昔。」
「あら、そう?アザミっていうのよ。花言葉は、『独立』、そして『私に触れないで』なの。」
ロビンがバルジモアから苗を持ってきた花だった。
他にもいろいろな花の種を持ってきていた。
「ふうん。」
「日当たりがいいところに置きたいんだけど、見張り台の部屋に置いてくれないかしら。」
「いいけどよ、水やりなんかできねえ、オレは。」
「かまわないわ、私がやるから。それに、この花は、たくましいから、そう簡単には枯れないの。」
「じゃあ、後で、上に持っていくわ。」
と鉢植えをテーブルに置いて出ていく。
ゾロはアザミを見ながら、食事を続ける。
皿を片付け、食堂を出て行く際に、手がアザミの棘に触れる。
チクっとした瞬間に、子供の頃がよみがえる。
あの頃、野原や道端によく咲いてた花だ。
「これ、喰えるんだった。味噌汁なんかにして。」
思い出した。
「なつかしい。」
まさか、こんな海の果てで、また見るとは思わなかった。
非常食用か?ロビンは何故こんな花を育てるんだろう。
ゾロは、それがドラゴンの故郷の花だとはもちろん、知るよしもなかった。
*******
〈続く〉