[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
見守ることも大事だけど、
話しをすることも、大切なんだなと。
見守ってたつもりが、見ないふりしてたのかも
放ったらかしにしてたのかも・・・
たとえ毎日顔を合わせる家族でも。
あ~~、思ってること言ったら
スッキリしただよ。
どんな想いだろうが、あ
なたの声が聞けて、よかった。
また、聞くからねっ!
ポチポチありがとうございます。
えへへ、嬉しいです。
>かこさんへ
なんか、いい男、三人そろい踏みで、
闘ってくれたら うわ~~~って、なりそうです。
>ボロボロにされて(笑)
そこが、またいいのかも。
モネたんじゃ、少々物足りないか~?
求む、強敵!(笑)
圧倒的な強さも、しばらく楽しみたい気もするなぁ。
んふふ、ゾロの戦ってる姿は、やっぱり、文句なく好きだぁ!
ゾロたし パラレル話です。
たしぎ姫と仕える剣士ゾロの物語。
第二話 読み切り不定期連載と言いましょうか。
忘れた頃にやってくる。
よろしかったら
「つづきはこちら」からどうぞ
2
よく晴れ渡った競技会当日、
大方の予想通り
優勝したのはロロノア・ゾロだった。
力強い剣さばきに、周囲の者は皆、見とれる程だった。
父ミホークから少し下がった場所で、
たしぎは試合の模様を見守っていた。
強い。
なんて、強いの。
感嘆する一方で、置いてかれたような一抹の寂しさを感じる自分がいた。
なにを、今更。
ゾロの優勝を讃える観衆の拍手の中、たしぎは少し目を伏せた。
ミホークが立ち上がり、ゾロに近づく。
「見事であった。」
ねぎらいの言葉をかける。
片膝を付き、頭を垂れる。
たしぎは、用意してあった花束を手に、ミホークの側に駆け寄る。
「受け取るがよい。」
促されて、ゾロは立ち上がるとたしぎの手から花束を受け取ると
うやうやしくおじぎをした。
何か言わないと。
考えてきた言葉が出てこない。
素晴らしかったわ。
強くなったのですね。
どれも、今のたしぎには、白々しく思えて
何も言えなくなってしまった。
一瞬あったゾロの瞳は、とても自信に満ちていて、
光をたたえていた。
「どれ、勝者ゾロよ。私と手合わせ願おうか。」
その言葉で、会場が凍りつく。
ハッとして振り返ると、ミホークが立ち上がるところだった。
再び見たゾロの瞳は、
たしぎなど眼中になく、
ミホークをとらえたまま、動かなかった。
「光栄でございます。」
ゾロの低い声が響いた。
******
たしぎは、先程、目の前で繰り広げられた光景が
いまだに信じることができずに回廊を走っていた。
「姫様、危のうございます。落ち着きなさいませ!」
追いかけてくる侍女の声が、遠くに聞こえる。
ギン!ギン!
何度も刀がぶつかり合う。
最初は勢いのあるゾロが優勢だと思った。
ミホークは受け流すだけで、少しづつ後退していく。
誰もが、若いゾロの力強さを頼もしく思った。
ヒュン!
一瞬、空を斬るミホークの黒刀。
ゾロの動きが止まった。
ミホークの刀に、何を見たのだろう。
構えたまま、ピクリとも動かない。
睨み合った時間が、長く感じる。
たしぎは、汗が首筋を流れるのを感じた。
ゾロが一歩前に踏み出した途端、振り下ろされるミホークの剣。
たしぎは、その瞬間に見た父ミホークの顏を
忘れることはないだろうと思った。
たしぎの目の前で、ゾロの身体がスローモーションで
仰向けに倒れていく。
吹き出る血の飛沫が、まるで 絵画のようだった。
「傷は浅い。心配するな。」
ミホークの声が遠くに聞こえる。
倒れたゾロは、他の兵士達によって医者のところまで
運ばれていった。
競技会は、ミホークの言葉で閉会を告げ、
会場からは、次第に人気がなくなっていく。
あんなに強いのに、ロロノアは、公の足元にも及ばないのか。
ミホーク公の剣は、まだまだ健在だ。
これなら、わが領も、安泰だろう。
ざわざわと散っていく人々の口から
そんな声が聞こえる。
たしぎは、床に落ちた花束のように
そこから動けなかった。
「・・・姫様・・・」
侍女の声で、ゆっくりと振り返る。
「目の前で、あんな光景をご覧になって。
さぁ、お部屋で休みましょう。」
たしぎは、何も言わずに首を振ると
医師がいる部屋に向かって走り出した。
*****
ガチャ。
扉を開けると机に向かって座っている
医師の姿が目に入った。
「これは、姫様。こんな所に、いったい。」
椅子から立ち上がり、おじぎをすると
たしぎの目的を察したらしく
安心させるように、奥のベッドに視線を投げかける。
「ご安心を。ロロノアの傷は、皮膚を切っただけでございます。
命には別状ございません。」
その言葉に頷きながら、医師が見やった奥に
そっと近づいた。
「眠っているかと思います。私は、薬を持って来ますので
暫しの間、失礼いたします。」
そう言うと、たしぎを残し、治療室を出ていった。
扉の外で、追いついた侍女が待機しているのが目に入った。
そっと、ベッドに近づく。
そこには、身体にグルグルと包帯を巻かれた
ゾロが横たわっていた。
目を覆うように、黒い布をかぶっている。
眠っているのだろうか。
胸が上下にゆっくり動いている。
たしぎは、ベッドの側の椅子に腰を下ろし、
そっとゾロの腕に触れようと手を伸ばした。
ふいにゾロの手が動いて、たしぎの手を振り払う。
「ロロノア・・・」
「みっともねェとこ、見んじゃねぇよ・・・」
表情が分からない顏を、背けるように横を向く。
「・・・・」
それ以上、何も言えずに、たしぎは
そっと治療室を出た。
******
*****
「どういった心境の変化でしょうか。」
「さあな。」
ミホークの部屋で、コウシロウと二人話していた。
剣術大会の後、たしぎが剣を再び握るようになった。
コウシロウの元に出向いては、教えを乞う。
時折、父ミホークは剣を教える気はないのだろうかと
コウシロウに尋ねていた。
「あの若造は、どうしておる?」
「前にも増して、稽古に力が入っております。
目標を、あなた様に、定めたようです。」
「俺を越えるとでも?!」
コウシロウは、その問いには答えず、微笑んだ。
「血は争えませぬ。」
「そういうものか・・・ふむ・・・」
******
その後、屋敷の稽古場で、
しばしば剣を振るミホーク公の姿が見られた。
その傍らには、ゾロの姿があった。
そして、また、人知れず屋敷の中庭で
父ミホークの前で、剣を振るうたしぎ姫の姿も、
従者の間で目撃された。
******
あの日、自分から剣を置いてしまったことを
たしぎは後悔した。
女だから、もう強くはなれない。
これ以上・・・
そう線を引いてしまったのは、私だった。
あの時の、ロロノアの哀しそうな顏が浮かぶ。
私にも、まだ剣を握る資格はあるだろうか。
あの日の、ロロノアの言葉を思い出す。
みっともなくなんかない。
強くなりたい。
そしたら、また、
一緒に笑いあえる日がくるだろうか。
*****
あまりにも遠かった。
ミホーク公の剣は、どれだけ上なんだろう。
領内に敵はいないと自負していた自分がいた。
あの時、あのひと振りで、気づいた。
オレとあの男との大きすぎる差。
退くことだけはしたくなかった。
踏み出した結果の、この傷。
そっと盛り上がった傷跡に手を触れる。
まだまだ、オレは弱ェ。
強くなりたい。
*****
いけない、遅くなってしまった。
バタバタと剣を持って走るの
男物の衣服を身に付けたたしぎだった。
もう、最近は侍女も追いかけてこない。
後から、ゆっくりと来る。
剣の稽古を再開し時は、異議を唱えたが
父が、時折様子を見に来るようになって、
何も言わなくなった。
冬が近づき、天気の悪い日が多くなったので、
たしぎの稽古は、領内の稽古場に場所を変えた。
流石に、他の剣士たちと混ざっての稽古は
侍女達に猛反対され、時間をずらして一人きりの鍛錬となった。
ギィー。
重い扉を開けると誰もいない筈の稽古場に
一人、剣を振るう者が見えた。
うっ!
空気が震える。
ビリビリと伝わってくる気に、たしぎは思わず身を固くした。
「もう、こんな時間か?」
そう言って、剣を下ろしたのは、ロロノアだった。
ふっと、空気が緩む。
いつの間にか、止めていた息を たしぎは、ほうっとはいた。
カチャ、カチャン。
剣を鞘に収める。
「・・・まだ、続けてても、構いません。」
ゾロは、チロっとたしぎに視線を向ける。
何も言わずに、再び剣を抜いた。
シュッ、シュッ・・・
少しの間、剣の振るう音がまた空気を斬った。
「・・・・」
ゾロが動きを止める。
「やめた。」
再び、剣を収めるとガサガサと片付けを始めた。
扉を背に、突っ立ったままのたしぎに近づいてくる。
「どうぞ、ごゆっくり。」
「・・・・」
何を言えばいいんだろう。
「わ、私も、また・・・強くなります。」
出て行こうとするゾロが、たしぎの側で立ち止まる。
じっとたしぎを見下ろしているのが気配で感じる。
顔を上げられない。
「・・・お怪我など、なさらぬように。」
低く、冷たい言葉に、ハッと顔をあげるたしぎ。
言葉が出ないまま、たしぎは、思わず指先で、ゾロの胸の傷に触れた。
心臓の鼓動が、指先から伝わってくる。
驚いた顔で目を見開いたまま、たしぎを見つめるゾロ。
ふいに、顔を歪めると、たしぎは、ソロから手を離した。
「さあ、時間ですよ。姫様。」
奥からのコウシロウの声に、弾かれたように
ゾロは、稽古場を出ていった。
******
また、傷つけた。
ちきしょう!
ゾロは、自分への苛立ちを抑えきれずに
唇を噛んだ。
たしぎと自分は違う存在だと
はっきり認識したのは、たしぎが学校へ通う為に
この屋敷を離れた時だった。
いつも、たしぎの後を追うように歩いていた。
負けてばかりの剣が、いつしか刀を合わせただけで、
勝てると分かるようになった。
手を抜いた訳ではなかった。
ただ、少しでも長く、たしぎと刀を合わせていたかった。
たしぎの呼吸にあわせ、剣をさばいた。
それも、誤魔化しきれなくなって、
たしぎと手合わせをした時、引導を渡すつもりで
はっきりと勝負をつけた。
お前は、オレが守るから。
そう伝えたかった。
泣いて掴みかかるたしぎを見ていたら、
何も言えなくなってしまった。
たしぎの不在の中、オレは志願して
できるだけ遠くの地へと赴任した。
誰よりも強くなろうと決めた。
ここに帰ってみれば、たしぎは、すっかり姫の装いが似合う
大人びた顔をしていた。
以前のようには、話も出来ず、きっとオレの想いなどは
分からないだろうと思った。
それでもよかった。
剣を磨き、誰よりも強いと言われるようになれば
たしぎを守るのは、このオレの役目になるだろうと。
思い描いた未来と、今ここにある現実との間で
ゾロは、ゾロで、懸命に前へ進もうとしていた。
〈続〉