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満開の桜が川沿いに並び
川面がほんのりと桜色に。
奥には、雪をたたえた鳥海山。
いやぁ~絶景、絶景!
ところで、ワンピのフィギュア
たしぎとスモさん 見かけましたけど、
前全開で、にっこり微笑むたしぎに
えっらい違和感!!!
あれは、なしでしょ!
普通のたしぎが、前全開でにっこりなんて
ありえないっ!!!
ポチポチありがとうございます。
やっとのことで、
頑張れたしぎシリーズ
「G-5物語 5 ~傷~」後編です。
傷を負ったスモーカーが運ばれた病院に向かったたしぎ。
「つづきはこちら」からどうぞ
「G-5物語 5 ~傷~」後編
スモーカーはこの島の病院に運ばれていた。
衛生兵が軍の施設では不十分だと判断したからだ。
たしぎが病院に着くと、白衣をまとった医師が
ちょうどスモーカーの病室から出てきたところだった。
付き添っていた海兵が、たしぎに気づき教えてくれた。
「先生!あの、スモーカーさんは・・・」
息を整えながら、答えを待った。
「出血がひどかったが、もう止まったよ。
傷は残るがどうってことはない。
ただ、頭部への衝撃だから、三日は安静にするように。」
「はい。ありがとうございました。」
「いや、あの海賊らを捕まえてくれて、ほんと助かったよ。
こちらこそ、島民として礼を言うよ。」
「いえ・・・」
「お嬢さん、いや、海兵さんも、怪我してるようだけど、大丈夫かい?」
たしぎの頬や腕には能力者の前に立ちふさがった時の
切り傷がいくつもあった。
駐屯所で、衛生兵に手当てしてもらっていた。
「こんなのは、平気です。なんともありません。」
スモーカーさんが受けた傷に比べたら。
「さすが、この新世界で海賊を捕えるような海兵さんは
女性でも、一味違うようだね。」
「いえ・・・」
答えに窮して、思わず目を伏せた。
医者は、首を傾け病室を気にするたしぎに中の様子を教えてくれた。
「あぁ、今は麻酔で眠っていると思うが、
入ってもかまわないよ。」
たしぎは、ペコリとお辞儀をすると
海兵が入り口脇に待機している病室の前に立った。
二人の海兵は、無言で頷く。
静かにドアノブを廻し、そっと開ける。
仕切りのカーテンをよけ、中を覗くと
点滴をつけ、顔半分を包帯で巻かれたスモーカーの姿が
目に入った。
スモーカーさん・・・
眠っているスモーカーの傍らに立ち、見下ろす。
少し早いけれど規則的な寝息に、安心する。
ベッドのそばの丸椅子に静かに腰を降ろした。
私はあの時、スモーカーさんを待っていた。
スモーカーさんならなんとかしてくれると、
そう思っていた。
私は、何をした?
敵を見つけて、上官に知らせるだけなら
誰だって出来る。
この隊の副官として・・・
己の無力さが、胸を締め付ける。
たしぎは、目をつぶり、丸まるように、
ベッドに置いた手に顔を伏せた。
不意に頭があたたくなる。
スモーカーの手が撫でるように、たしぎの頭に置かれていた。
その手のひらのぬくもりに、思わず涙が出そうになる。
鼻の奥がツンとする。
いっそ、責めてくれればいいのに。
「う・・・」
スモーカーが身じろぐ。
たしぎは身体を起こし、顔を近づける。
「スモーカーさん、大丈夫ですか?」
「・・・・」
何か言いたげなスモーカーの言葉がよく聞こえるように
耳を口元に近づける。
「・・・葉巻をくれ、たしぎ。」
「だっ、だめですっ!!!そんな、何言ってるんですか!」
ずずっと鼻をすすりながらも、たしぎは顔を真っ赤にして、怒り出す。
「傷だって、縫ったばかりだし。無茶言わないで下さい!」
泣きそうな自分を誤魔化すように、大げさに怒る。
「平気だ、俺の身体は煙で出来ている。」
「そんなこと言ったって・・・」
「寝たばこはダメですよ。」
一人でぶつぶつ言いながらも、
どうせこうなることは分かっていたように
ジャケットのポケットから葉巻を取り出す。
背をむけたたしぎに、スモーカーが小さく呟く。
「お前じゃなくて、よかった。」
たしぎの手が止まる。
「一緒にいた部下達が、お前が身を楯にして守ってくれたと。」
「そんな・・・私は、また、何も出来ませんでした・・・」
背を向けたまま、呻くように答える。
この想い、何度、繰り返すのだろう。
もう、こんな悔しさは味わいたくない。
スモーカーは黙っている。
背中から見守られているように感じた。
たしぎの胸に湧き上る感情。
スモーカーさん、私は、あなたをも守りたい。
守れる程、強くなりたい。
その包み込んでくれる手を、失いたくない。
「・・・てめぇ、変な事考えてんじゃねぇだろうな!
俺を守るだの。」
スモーカーの低い声が響く。
え!?・・・
図星すぎて、何も言えない。
「そ、そんなこと・・・」
引きつった笑みを浮かべ、振り返る。
「馬鹿野郎!100万年早え!」
葉巻を手にしたたしぎと目があった。
「ははは・・・はい、葉巻です。
くれぐれも、寝たばこ厳禁ですからね。」
たしぎは、枕元に葉巻を置くと
照れくささを隠すように後ずさる。
「あっ、私、ジャケット洗ってきます。」
そう言って、血で汚れたスモーカーのジャケットを引っつかむと
バタバタと病室を出て行った。
バタンとドアが閉まる音に、スモーカーの眉間に皺がよる。
ま、目指すのは自由だ。
ったく、後を付いてくるだけで精一杯だった小娘が、
一丁前の口をきくようになりやがって。
痛。
傷がひきつる。
それでも、笑い出しそうな気分で
葉巻に手を伸ばした。
「・・・おい、たしぎぃ!火を置いてけよ!ったく!」
仕方なく火のない葉巻を口に咥えると、静かに目をつぶった。
〈完〉
このあと、エピローグ続きます。(^^ゞ