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ワンピース二次創作、ゾロたしのSS中心です。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
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なでしこヤッター!!!!
岩清水すげ~~~!!!
ワールドカップの値千金のファールを
思い出す!
澤のゴールも、後ろに飛ぶヘッド!

いやぁ、なでしこジャパン
素晴らしい!!!

ユニホームのピンクがいいね。
可愛らしいわ~~♪

ポチポチありがとうございます。
「発風」ラストです。
「つづきはこちら」からどうぞ





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「発風」4


飛行機が離陸し、暫く経つと
シートベルト着用のサインが消えた。

機内は、急にリラックスしたような空気に包まれた。


ゾロは、眼下に広がる街の灯りを眺めながら座席に身を沈めた。

「まだ見ぬ世界をこの目で見てみたい。」

何で海外になんか行くんだと聞かれ、
幾度となくこう答えてきた。



そんなんじゃねぇよ。

こっから、逃げ出したいだけだ。



誰に気兼ねすることもなく、自分の弱さを認めると
幾らか気が楽になり、ゾロの顔には、あきらめたような笑みが浮かんだ。


情けねぇな・・・


わかってんよ、そんなこと。







一人になって思い出すのは、
たしぎの優しさばかりだった。

いつまで経っても消えてくれない面影に息が詰まった。


この手は、もうあいつに届かない。
夢に出てきたあいつに伸ばした手が、むなしく空を切って目が覚める。

冷たいベッドの中で、全てをやりなおせたらと、何度願っただろう。




堂々巡りの思考をキャビンアテンダントが運んで来た食事が
遮ってくれた。





食事が済み、室内の明かりが落とされた。
映画を見るもの、早々に眠りにつくもの
機内は再びエンジン音だけが耳に響き始めた。

ゾロは毛布を頭までかぶると目を閉じた。






あいつはオレを許しはしないだろう。

許さなくていい。

それが報いだ。




最終的に落ち着く結果を、ゾロは小さくうなずいた。




これから向かう世界に思いを馳せる。
何が、待っているんだろう。


まだ見ぬ世界を見てみたいってのは、嘘じゃねぇ。



自分のちっぽけさをきっと思い知るだろう。

そこでオレは、何を思うだろう。






ごそっ。
身体の向きを変えると、腰のあたりにぶつかるものがあった。

ジャケットのポケットに手を入れると、
オールブルーを最後に訪れた時、サンジにもらったコースターが入っていた。

取り出して眺める。
コースターの裏に書かれたオールブルーの住所が目に入った。




******






「はぁ?お前英語しゃべれんのか?」

「いや。でも、事前に研修があるらしい。」


サンジは煙草を咥えたまま、ゾロの顔をポカンと見つめていた。







出発を明後日に控えてゾロは、愛車を売りにフランキーを訪れた。

愛着のあるマシンを手放すゾロの気持ちを汲んでか、
売れるまで預かっておくと言ってくれた。

「たぶん売れ残るだろうから、引き取りに来いよ!」

ありがてぇ。

素直にフランキーに感謝した。

「気を付けて行って来いよ。そんで、あっちでの話聞かせてくれよな。」

そう言って送り出してくれた。







ゾロは、その足で、オールブルーを訪れた。

めっきり足が遠のいたのを、すまなく思いながらドアを開けた。

ドアを開けると、サンジが何故かホッとした顔をして
迎えてくれた。





いつものようにスペシャルランチを食べていると
サンジは早目にドアにランチタイム終了を告げる札を下げて
戻ってきた。


自分とゾロの為にコーヒーを淹れる。


コポコポとパーコレーターの音が
静かな店内に響いた。


*****


「はぁ、研修ねぇ。ほんの数週間で、
 モノになるのかよ。」


「ま、なんとかなるだろ。」

「はっ、お前らしいな。」


他愛もないバカ話しをして時間が過ぎた。



電車で帰るの面倒くせぇなと
ゾロが腰を上げると、サンジは黙った。


会計を済ませると、サンジは不機嫌な声で
「ちょっと待て。」と声をかけた。


傍にあった店のコースターを手に取った。
裏に何か書き込むと、ゾロに向かって差し出す。


「なんだよ。」

「ここの住所だ。」

「は?」



「お前、ちゃんと、帰ってよいよ。」

「そのつもりだよ。」

つられて、ゾロの声も不機嫌になる。



「逃げるだけじゃ、どこにも進めねぇんだよ!」


ばっ!!!

バカ野郎!思わず手が伸びでサンジの胸ぐらを引っ掴んでいた。



「・・・・」

下から睨みつけるようなサンジの視線に、ゾロは何も言えなかった。

まるで自分の胸のうちを映したかのようなサンジの瞳に、先に視線をそらしたのは、ゾロのほうだった。


そっと握った拳を緩めた。



「ま、メールもいいけどよ。エアメールなんても、たまには風情があるかなって。
 ・・・ははは、ガラじゃねぇか。」

ゾロの顔色を、たいして気にも留めずに、サンジはあっけらかんと笑う。


「まぁ、持ってけよ。」

ゾロは無言でコースターをジャケットのポケットに入れた。



「ご馳走さん・・・・」






カラン。

ドアを半分押したところで、ゾロは振り返った。


「・・・またな。」


それだけ言うと、サンジの顔も見ずに店を出る。




「あぁ。」

サンジも閉まるドアを見ようともせず、煙草を口にくわえ直し、火をつけた。




とどまる辛さは知っている。
戻らない人を想い、胸が潰れる。
追いかけて行けたらよかったのか。

進めないのは、自分のほうか・・・




サンジは、カウンターをそっと撫でた。


「またな。オレは、ここに居る。」



******




日本を離れてほんの数時間しか経っていないというのに、
もうサンジの料理を食べたいと思っていた。

味気ない機内食のせいだな。

まぁ、絵葉書ぐらいなら送ってやってもいいか。


ゾロは、小さく笑うと旅先での楽しみに
それを加えた。




 〈完〉

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ワンピース大好き。
ゾロとたしぎは公認カップルと信じて疑わない。
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