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ワンピース二次創作、ゾロたしのSS中心です。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
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あけましておめでとうございます。
新しい年の始まりです。
今年は、どんなことが待っているのでしょう。
ワクワクします。

リンクに
素敵サイト様貼らせていただきました。
いつも楽しませて頂いてます。感謝、感謝。

今年のそめたの目標は、去年に引き続いて、
「想いを伝える」です。

さて、どうしても今日中に載せたかったお話です。

時は、グランドライン、ビビを乗せ、リトルガーデンに向う麦わら一味。
再び、波乱の幕開けを予感しながら
新年を迎えます。

「つづきはこちら」からどうぞ


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「なんだ、起きてたのか。」


もうすぐ、夜が明ける。
空がうっすらと明るくなり始めていた。

甲板にいたウソップに、起きてきたサンジが声をかける。

「ん?あぁ、きりのいい所まで片付けちまおうと思ってたら、
こんな時間になってた。」
そう言うと、手元の作品をサンジにチラッと挙げてみせる。
何やら、新火薬のようだ。
「まったく、元旦だってのに、いつもと変わんねえな。」
サンジが新しい煙草に火をつける。

夜にカウントダウンをして、皆で新年を祝ったのは、
ほんの数時間前だ。
「おまえだって、今朝は昼ぐらいまで誰も起きて来ねえぜ。
 メシの支度はいらねえだろう。」
「俺は、いつもの癖だ。」

「正月だっていうのに、俺たち、普段どおりだな。
 一年前は、こんなところで航海してるなんて夢にも思わなかったのによ。」
ウソップの脳裏には、故郷のシロップ村が浮かぶ。
あの時、笑って送り出してくれたカヤの笑顔は、今もウソップの心の支えだ。

「よくまあ、俺達、ここまで来たもんだな。」
ふっと、笑いながら、サンジが煙草をふかしている。
白煙が、薄暗い海に溶け込んでいく。

「ああ、約束なんかしてもないのにな。」
何もないところから、始まった航海。
いきなり、命を賭けて戦わなければならない強敵との戦い。
自分の臆病さが、いやという程分かった。
ただ、こいつらと共にいると、見るもの全てが、俺には新鮮で、
きっといつか、勇敢な海の戦士になれそうな気がするんだ。

「しょうがねえよ。オレは、アイツらを見届けたくなった。
 だから、付き合うって決めたんだ。ま、ナミさんを守れるのはこの俺だけだろうし。」
バラティエで、ルフィの信念とゾロの涙を見た。
命を賭けて戦う男二人、正直、度肝を抜かれた。
今思えば、ゼフの愛情に包まれて生きてきた俺には、衝撃だった。
悔しいが、女の事以外で、熱くなったのは、いつ以来だったんだろう。

「なんだ、話し声が聞こえると思ったら、
 おまえら起きてたんか。」
見張り台からゾロが降りてきた。

「ああ。」二人が答える。
「じゃあ、これ開けるか。」
ゾロが手に持っていた酒瓶を見せる。
「おとそだ。」
「なんだ?それ。」
「ただの酒じゃねえか。」

「ああ、ただの酒だが、新年を祝う酒だ。」
ゾロが封を切ると、ふっと香りが漂う。

瓶のまま、ウソップに放ってよこす。
「オレの生まれ故郷の酒だ。こないだ、偶然見つけた。
 新年には、子供もみんな、少しずつ飲んだもんだ。」
ウソップが口を付ける。
「水みてえな、スッキリした酒だな。ん、旨い!」
その言葉に、少し嬉しそうにゾロはうなずいた。
「だろ。」

次に瓶を受け取ったサンジは、何も言わずに一口飲むと、
「いい味だ。」と、ゾロに渡す。
ゾロも、口をつけると、ゴクリと喉をならした。

ガタッと音がして、ルフィが甲板へ出てきた。
寝ぼけた顔で、何も言わずに、海に向かって用をたすと、
ようやく皆に気づいた。
「んぁ?おまえら、そろって何やってんだ?」

「新年を祝ってる。」ゾロは、瓶をルフィに渡す。
「夜中も、祝ったぞ。まだ、続いてんのか?」と言いながら、
グビッと透明な酒を喉に送り込む。
「んめぇな。」と言ってニカッと笑う。
誰も口をきかないが、心地よい空気の中、
ゆっくりと時間が過ぎていく。

「日の出だ。」前方を眺めていたサンジが、呟く。
皆、顔を向けると、海と空との境界線に明るい光の線が走る。
その中央の輝きが、少しづつ大きくなってくる。
朝日を一身に受け、目を細める男たち。

「なかなかないぜ、こんな瞬間。」
また来年も、一緒に日の出を拝めるかなんて、
誰にも解らねえ。

ウソップの言葉に、それぞれが、この特別な時間を楽しんでいた。


その直後、不意に西から強い風が吹いてきた。
ナミでなくとも分かる、気圧の低い湿気を含んだ重い空気が
周りを取り囲む。嵐だ。
振り向くと、雨雲が船を追いかけるように迫ってきていた。
たちまちメリー号は、雲におおわれると、大粒の雨が叩きつけるように落ちてくる。
「うひゃ~~~!大変だ~!」ルフィが麦わら帽子を押さえながら、
船首のメリーの首につかまる。言葉とはうらはらに、顔は楽しそうだ。
「さぁ、この嵐を越えて、行くぞ~!どこまでも!」

ウソップは、慌てて火薬を袋に戻して仕舞い込んだ。
サンジとゾロが、帆の調整と、舵取りに走る。
雷鳴がとどろき、稲光が船を照らす。
空から落ちてくる、雷が、立ち上る竜のように見えた。
「なんだって、いうんだよ、この海は。クソ忙しいぜ。」
「とんだ、一年の幕開けだ!」

「なに、楽しそうに、してんだよっ、おまえら!」
ウソップが叫ぶ。

「ウソップ!ナミを呼べ!」
「呼ぶんかいっ!」
そうだ、どんなに大変だって、こうやって冗談飛ばしながら、
どこまでだって行くんだ、俺たちは。
そう思って駆け出したウソップの顔も、やっぱり笑っていた。


〈完〉

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ゾロとたしぎは公認カップルと信じて疑わない。
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