ワンピース二次創作、ゾロたしのSS中心です。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ここんとこ、何かと用事があって
休日に朝寝坊が出来ない!(笑)
朝、動き出すまで時間がかかるようになってきた。
さ、さむいよ~ん♪
そろそろヒーターの準備ですかねぇ。
ポチポチありがとうございます!ヽ(^o^)丿
さてさて、リクエスト作、第二弾です!
みやさんからいただきました。
「二人の甘甘でいちゃいちゃしている話。
素直で普通のカップルで。」
パラレル現代設定です。
女心となんとやらと言いますが、
「秋空face」です。
「つづきはこちら」からどうぞ
「秋空face」
「ごめん!待った?」
息を切らしながら走ってきたたしぎは、
珍しくスカートをはいていた。
少し目を丸くして眺めるゾロ。
今日は久しぶりの映画の約束だ。
「どうした?」
遅れたことは、さほど気にしていない様子で尋ねる。
たしぎは、はぁはぁと呼吸を整えながらも
照れながら笑っている。
「えへへ、どうですか?このワンピース。
今日、見せたくて。」
裾を気にして、くるっとまわってみせる姿は、
なんだか愛らしい。
「夏物バーゲンで、一目見て気に入ったんです!」
そんなこと、言わなきゃいいものをと思いながら
笑って答える。
「うん、まぁ。」
「変ですか?」
急に困った顔をして、ゾロを見上げる。
「いや、別に。」
「別にって、やっぱり似合ってないんですね。」
テンションが急に下がる様子に、あわてて
ゾロは言葉を繋ぐ。
「に、似合ってる。」
さすがに、面とむかって褒めるには照れくさい。
明後日の方向を向いて、涼しい顔をしたつもりだった。
「あ、ちゃんと言ってくれた。ロロノア、赤くなってる。ふふふ。」
背伸びして、顔を覗き込んでたしぎが笑う。
「てめぇ、からかいやがって!」
「きゃ~!」
たしぎは、跳ねるように先を行く。
揺れるスカートを眺めながら、
さっきまで何もなかった空間が、まるで花が咲いたように
明るくなった。
一緒にいると、空気が違う。
変なやつ。
この言い方は、正しくねぇな。
自分のボキャブラリーの少なさに苦笑しながら、
ゾロは、ゆっくりとたしぎを追った。
*****
「わたし、ずっと見たかったんです。この映画。」
「あぁ。」
「だって、監督の最新作で、主人公がなんと!」
「わかったから、ほら、行くぞ。」
「ま、待って!」
映画館は、話題作ということで満席に近く、
人いきれの中、ゾロはそれほど、映画に集中できなかった。
場面場面で、表情がコロコロ変わるたしぎを眺めている方が、
よっぽど面白かった。
「あ~~~、面白かった!」
ぐすっと鼻をすすり、瞳を潤ませながら満足げなたしぎに
思わずどのシーンで泣いたんだ?と聞こうとしてやめた。
「ほんと、面白かったな。」お前が。
劇場から出ていく人の波の中、はぐれそうになるたしぎの手を握った。
柔らかい指先がぎゅっと力を込めて握り返してくれた。
******
映画館を出て、そのままふらふらと街を歩いた。
CDショップで、流行りのCDを視聴しまくった。
「あ、これ好き。」
「どれ?」
「はい。」
ヘッドフォンを渡してくれるたしぎは、腕の中に収まりそうな程、近くにいる。
「はっくしゅん!」
エアコンが効きすぎて、少し寒いほどの店内。
ゾロは、羽織っていたデニムのシャツをたしぎの肩にかけた。
「あ、ありがと・・・」
少し照れたように胸の前で、シャツを掴んだ。
ゾロの整髪料の香りに、たしぎの心臓が早くなる。
******
店の外に出ると、だいぶ陽が傾いていた。
電車に乗って駅までの時間、たしぎは少し無口だった。
窓の外を眺めるたしぎのまつ毛を、ゾロは、ただボンヤリと眺めていた。
電車を降り、駅から出ると、辺りは家へと急ぐ人達で混雑していた。
「疲れたか?」
おとなしくなったたしぎを心配してゾロが顔を覗き込む。
「ううん!平気!」
「腹減ったな。メシ食ってくだろ?」
「はい!私もお腹すきました!」
たしぎは、にこりと笑って、お腹をさすってみせた。
「じゃ・・・なんにする?」
たまには、お洒落な場所で食べたいのかな?と思いつつ聞いてみる。
「やっぱり、今日はラーメンでしょ!」
たしぎが、笑いながらゾロの腕を取り、自分の腕を絡めると、
引っ張るように歩き出した。
よく二人で行くラーメン屋のドアを開ける。
店主の威勢のよい声が迎えてくれた。
「いらっしゃい!」
テーブルにつくと、それほど迷わずに注文する。
「担担麺大盛りと・・・」
「ネギ味噌ラーメン」
「餃子とご飯も」
「はいよ。」
壁際の二人用のテーブルに向かい合って座る。
セルフサービスの水をコップに注いでたしぎが持って来てくれた。
「サンキュ。」
夕食には少し早い時間だったので、それほど待たずに
熱々の器が運ばれてきた。
「お待ちどうさま。」
辛そうな臭いが、胃袋を刺激する。
「いただきます!」
二人で手を合わせて箸を割った。
ふ~ふ~~
ズルズル
ズルズル
たしぎが、メガネを外してテーブルの端に置いた。
ゾロは、ちらっと見上げ何事もなかったように食べ進める。
一心不乱に食べ続ける二人。
「おいしいね。」
「ん。」
「辛っ、はぁ。」
時々手を休めながら、水を飲んだりして
ゆっくり食べるたしぎに、ゾロは時々、見とれそうになった。
眼鏡を外すのはオレの前だけにしてくれよな。
そんなことを言い出しそうで、あわてて、白飯をかき込む。
全部たいらげて、ふーっと一息つくと、
たしぎも満足そうにこっちを見ていた。
「ロロノアは、ほんと一生懸命食べますよね。」
「わ、悪いかよ。」
「ううん、作ってくれた人が喜ぶよ、きっと。」
二人、再び手を合わせて
「ごちそうさま。」をする。
「毎度!」
店主の掛け声を聞きながら、ドアを閉めた。
「ん~~、満足、満足。」
腕を前に伸ばしながら、たしぎが背中をそらす。
「いいのか?いつもこんな所で食べてばっかりで。」
「?」
「その、たまにはお洒落なレストランとかで。」
何を言い出すのかと思ったたしぎは、ふふふと笑ってゾロを見る。
「いいんです!私、こういう方が好きなの。」
「なら、いいけど。」
「ロロノアとなら、何食べてもおいしいよ!」
その答えに照れながらも、オレも、と心の中でつぶやいた。
*****
すっかり暗くなったたしぎの家までの道のり。
人通りもなくなって、家々にはあかりが灯りだす。
さすがに、風が冷たい。
ゾロのデニムを羽織っていても、たしぎはやはり寒そうだ。
強い風に、ぶるっと首をすくめる。
「大丈夫か?」
さりげなく手を伸ばして、たしぎの手を握った。
「風邪ひくなよ。」
「うん。」
「・・・ロロノアの手あったかい。」
早く送ってやんなきゃいけないのに、
いつもと違う角を曲がり、少し遠回りの道を選ぶ。
少しでも長く、こうやっていたいから・・・
さっきのラーメン屋でかいた汗が身体を冷やす。
「はっくしゅっ!」
思わず出たゾロのくしゃみにたしぎが慌てる。
「ご、ごめんなさい!ロロノア!風邪ひいちゃう!」
シャツを脱ごうとしたのを、ゾロが止める。
すっとシャツの間に手を滑り込ませ、薄手のワンピースの上から抱きしめた。
「あったけ。」
とまどうように、ゾロの胸にたしぎのおでこが当たる。
うつむくと、赤くなっている耳が、ゾロから見えた。
「人が来ます。」
「いやか?」
ふるふると首を振るたしぎ。
困ったな。
ゾロは、空を仰いだ。
このままじゃ、帰れねぇ。
「こっち。」
腕をほどくと、手を引いて近くの公園にたしぎを導く。
ネコの額ほどの小さな公園。
申し訳程度の植栽と、ブランコと砂場がある。
街灯が一つ、ぼんやりとベンチを照らしていた。
手を繋いだまま、たしぎに向きあう。
「キスしていいか?」
え?と驚いてゾロを見上げるたしぎ。
初めてのキスする訳じゃないけど、
こう面と向かって言われると、たしぎはどう返事していいかわからなかった。
「・・・・」
じっと見つめ返す瞳に、ゾロは後悔し始める。
「あ、ゴメン。困らすつもりじゃ・・・」
「帰ろう。ほんとに風邪ひかしちまう。」
そう言って、歩き出そうとした。
たしぎは、握った手を引っ張るようにその場を動かない。
「ん、どうした?」
「いいよ。」
うつむいたまま、小さな声が聞こえた。
こう真正面に答えられると、かえって構えてしまう。
「いいのか?」
こくりとたしぎが頷く。
えっと・・・
寒さのせいなのか、緊張のせいなのか、たしぎの身体はガチガチに固まっている。
あぁ、やっぱり・・・
ダメだな、オレ。
「冗談だよ!」
ゾロは笑顔を見せて、たしぎの手を引っ張った。
「からかっただけだ!さ、行くぞ!」
「え?ええ~!?ロロノアったら、ひどいじゃないですか!」
ゾロに手を引かれながら、たしぎは抗議の声をあげる。
「あはは、お前、すっげぇバカ正直だからな。面白ぇ!」
「ちょっとぉ!」
たしぎは頬を膨らませて、ゾロを睨みつける。
「あ、怒った!」
「もう!」
ゾロに振りかざした腕をつかんで
素早く唇を重ねた。
たしぎの動きが止まる。
「・・・もう・・・」
ゾロの腕の中で、たしぎの目が閉じられた。
包み込むように抱きしめる。
少しでも、寒くないように。
「・・・ズルイです。ロロノアは、そうやっていつも不意を衝く。」
「そうか?」
確信犯だけど。
ゾロは、たしぎの耳に唇を寄せる。
「ずっとこうしていたい。」
ほら、また、そうやって・・・
その言葉の心地よさに、胸が震える。
ギュっと身体を寄せると、たしぎは、小さく頷いた。
ミャウ
そばで猫の鳴き声がした。
自然と二人の影が離れる。
チリンと首につけた鈴を鳴らして、黒っぽい猫が
二人の横を通り過ぎて行った。
すっかり暮れてしまった空を、恨めしげに見上げるゾロ。
「行こうか。」
名残を残しながら、歩き出した。
「ネコちゃん、風邪ひかないかしら。」
「お前もな。」
「ロロノアもですっ!」
離れた影がまた重なるように、路地に消えていった。
暖かそうな笑い声を風に乗せながら。
〈完〉
くるくる変わるたしぎの表情から
目が離せないロロノアさん。
みやさん、ありがとうございました。
楽しかった~~~♪
PR
この記事にコメントする