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ワンピース二次創作、ゾロたしのSS中心です。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
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連休は長男の成人式でした。
旦那にネクタイを締めてもらう姿に
思わずうるっとした気がする。

なに、そのうろ覚え!(笑)

だって、長男が神奈川へ戻ったとたん、
今度は長女が
逆ギレの、まさかの母の人生否定説!

もう、気力が失せた。
マイナス通り越してプラスだよ!(笑)

昨日は、もう屍のようにぐったりしてた。
只今、母業、完全休業中♪
やってられませんわ~!!!


そんな中、気を取り直して、
「双剣の鷹」4 ~それぞれの一歩~Ⅱ

ポチポチありがとうございます。
ほぼ出来てたんだけど、
侍女の名前で、迷ったりして。(^^ゞ
九蛇の子達から拝借。
「つづきはこちら」からどうぞ






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「双剣の鷹」4 ~それぞれの一歩~Ⅱ






ゾロが国外任務を言い渡された頃をさかのぼること、ひと月あまり。

たしぎは、ハート公国の長、トラファルガー・ローの前にいた。



国境を越えた陣幕での簡単な婚約の儀の最中も、
下を向いてばかりで、周りの様子もローの顔さえも
わからなかった。

ハート公国の馬車に乗り移り、揺られている間、
ずっと涙を堪えていた。


もう、もどれないんだと。
その想いばかりが、心を占めていた。



その日の遅くに城に入り、用意された部屋に入ると
そのまま休むようにと従者に告げられた。


部屋には暖かい食事が用意されており、
食べ終わるとて、そのままベッドに入った。


朝、城の従者の案内で、部屋についている浴室で
入浴をすませると、身支度を整え謁見に備えた。


トラファルガー・ローと初めて顔を合わせることに
たしぎは緊張のあまり、震えていた。











「遠路はるばるご苦労であった。」

ローの声は、低く年齢の割に落ち着いていた。


うやうやしくお辞儀をして、たしぎは、ゆっくりと顔をあげた。

玉座に大きく脚を組んで座り、肘をついて、斜めにたしぎを見下ろす姿に
たしぎは目を丸くした。

落ち着いた声と態度が繋がらない。

なんて、投げやりな態度なんだろう。
浮かべたうすら笑いから目が離せなかった。




「シモツキ国ジュラキュール公の姫君、たしぎ様でございます。」

ローの隣の従者が代わりに言ってくれた。

たしぎは、ハッとして、口を開いた。
「お目にかかれて、うれしゅうございます。」

そして、再び、頭を下げる。

「ああ。」



続いて、従者の声が響く。
「続きまして、ドンキホーテ王国、モネ様でございます。」


え?


「トラファルガー様、ごきげんうるわしゅうございます。
 お会いしとうございました。」


たしぎの隣で、舞うように華麗にお辞儀をする美しい女がいる。


この方は?

たしぎは、不思議そうにモネを見つめる。


従者の言葉は、耳に入ってきた。
「たしぎ様、モネ様、お二人のお后候補でございます。」



「はぁ?」

思わず声が出てしまった。



たしぎは、しとやかに振舞うようにと、
侍女にきつく言われていたが、すっかり頭から飛んでいた。

ドレスの裾をつまんだまま、でくの坊のように突っ立ったまま
モネとローを交互に見つめていた。


「くっ、く・・」

笑いを堪えていたのは目の前のローだった。




「聞かされてなかったのか?
 お前ともう一人、后候補がいることを。」

からかうような視線にムッとしながらも、頷く。

「これから半年、どちらがオレの后にふさわしいか、
 じっくり付き合ってみるっていう約束だ。」


そんなことを、お父様が承諾したのだろうか。
たしぎは、あまりの事に返事をするのも忘れていた。



「それぞれ、精進せよ。」

ローは、そう言い放つと、カツンとブーツを鳴らして
謁見の間から出て行ってしまった。





******



「な、なんなんですか!?あれは!」


「姫様!お声を、もう少し小さく!」

侍女のキキョウにたしなめられても、たしぎの憤りはおさまらない。



「お前は、このことを知ってたのですか?スイトピー!」

怒りの矛先は、侍女達に向けられる。


「え、ええ。姫様もご存知のこととばかり思っておりました。」

申し訳なさそうにスイトピーは頷く。

「私は何も聞いておりませぬ!お父様は、何も・・・」



「まぁ、無理もないことでしょう。」

キキョウは険しい顔になる。


「ど、どういう事?!」


「この事を知っておりましたら、姫様は
 きっと承諾なさらなかったでしょう。」


「・・・・」

確かに、キキョウの言うとおりだ。
身を引き裂くような覚悟で、この地へ来たというのに、
もし后となることなく、国へ戻されたら、
私は何のために・・・


思い浮かぶ面影。


同時に、湧き上がる一度はあきらめた想い。

もし、このまま国に戻れば、またロロノアに会える。


ハッとして顔を上げる。



心配そうに見つめるキキョウと目があった。



「ミホーク公のお気持ちは、十分にお分かりですね。姫様。」




「え、ええ。」
心のうちを見透かされたような気がして、思わず窓の外を見た。


それにしても、あのローの態度は、一国の長として
たしぎには解せなかった。

このハート公国は、医療技術の発達した国だ。
難しい手術でも、この国なら可能だということで、
各国から患者が訪れる。


門外不出の医療技術、全ては長のローが握っているという。
だからこそ、小国であるハート公国は侵略もされず
ここまで栄えているのだ。


「でも、あの態度、とても一国を治める者とは思えません。」


「まぁ、仕方のないことでございます。所詮は、成り上がり者・・・」

スイトピーが不満そうに呟く。



「誰が、成り上がりだって?」


「ひっ!」

いつの間に開いていた扉に寄りかかるようにローが立っている。
その顔を見た侍女達は、恐れるあまり深くお辞儀をしたまま
後ろへ下がってしまった。



「なんですか!?レディの部屋をノックもせずに開けるとは
 失礼です!」

「失礼なのは、どっちだ?」




「・・・あなた様のことではございません。侍女達にはきつく口を
 慎むように注意しておきます故、どうか、ご機嫌を直しくださいますよう
 お願いいたします。」

たしぎは、冷静さを保ち、臣下の非礼をわびた。


「まぁ、いい。そんなことは慣れている。」

ローはずかずかと部屋に入ると、椅子に腰掛ける。


なんてずうずうしい!

たしぎは、思いながらも顔には出さずに、ローに近づく。


「ここには、どのような御用件で?」

「后となる女の部屋に来るのに、用事がないといけないのか?」



たしぎは、ドキリとした。

「まだ、后となることは決まっていないのでは?」


「だから、具合を確かめておこうかと」

バチン!

最後まで言い終わらないうちに、たしぎの手が
ローの頬を打った。

「なんなんですか!乙女の純情を踏みにじって!」

「威勢のいい姫君だ。」

たしぎの行為を露ほどにも気にしていない様子で、
ローはゆっくり立ち上がる。

たしぎは、打った手を握ったまま、震えている。


頭の中では、激しい後悔が押し寄せようとしていた。



ローが近づく気配に、たしぎは後ずさる。

背中が壁に当たる。



どん!

壁を拳で叩く音に、たしぎはビクッとする。


覗き込むようにかぶさるローの顔が
すぐ目の前にある。


「なんにも知らないってのも、罪なんだよ。」

キッと睨み付ける勢いで、あげた顔にローの唇が触れる。


ひんやりとした薄い唇。





動けなかった。


ローが部屋を出て行くと、その場にペタリとへたり込んだ。


「姫様、ご無事ですか?」

スイトピーが駆け寄ってくる。その声も、耳に入らない。





ローの言葉と、唇に残る感触だけが残る。




わたしの知っている唇は、

やさしくて、あたたかくて・・・




ロロノア。

こぼれそうになる涙をぐっと堪え、
手の甲で、ぐいっと唇をぬぐう。






ロロノア、ロロノア・・・

一度、呼んでしまった名前は、
もう止められずに、たしぎの心を占める。




もう泣くまいと決めたのだ。
あの日、ゾロの胸で涙かれるまで泣いた。
あれで、もう泣くのは終わりにすると
自分に誓ったのだ。



たしぎの唇に触れた感触を
消し去ってしまいたいかのように噛み締めた歯は、
その薄い皮膚を傷つける。




鉄の味が、口の中に広がった。
それでも、噛み締めた唇を、たしぎはいつまでも解こうとはしなかった。








*******





翌朝、よく眠れずに、ぼーっとする頭で、たしぎは窓の外を眺めていた。


嫌い。

ローに対しては、そんな感情しか持てない。

あの男が、自分の夫になるかもしれないと考えるだけでも
胸が重くなった。


それでも、父ミホークの考えも十分理解できた。
この国と繋がりができれば、わが国の医療にどんなに助けとなるだろうか。

国の民を思ってのこと。

それが理解できればこそ、ローに対する感情が、
受け入れがたいものとなっていった。



「あぁ、もう!」

拳を握り締めたまま、窓辺を行ったり来たりする。



「時雨を頂戴!」

「姫様、莫迦な真似はおよしになって下さい!」

何を思ったのか、スイトピーが真っ青になって、止める。


「違います!剣の稽古をするんですっ!」


この国に来るときに、これだけはと、
時雨を持ってくることを承諾させた。

寝首をかくつもりだろうと疑われても仕方のないことだ。
それでも、たしぎは押し通した。

最後には、ミホークが折れて、ハート公国側に申し入れたのだ。
ロー側は、さほど疑うそぶりも見せずに、了承してくれたと
後から聞いた。

ミホークからは、ゆめゆめ、使い方を誤るなと
念を押されてきた。

父親としてなのか、領主としてなのか、たしぎはその心配を一笑して吹き飛ばした。




あまり人目につかないような裏庭に行くと、時雨を抜いて
素振りと型の稽古を始める。


ローには、従者に伝えて話は通してある。



頭の中から、余計な思いを振り払うように、たしぎは剣を振り続けた。







異国の姫が、何をしているのだろうと、
城内の者が、めずらしがって、覗きに来ても気に留めない。

お后候補のモネが、横目でちらりと見ては
通り過ぎていった。




この国で、この場所で
生きていくんだ。
自分の手で、道を切り開いていかなければ。

たしぎは、いつしか、そう自分に言い続けていた。





くるりくるりと舞うように剣を振るうたしぎを
2階の自室の窓から、ずっと眺めている人影。


この国の舵取りを担うローだ。

何を思って見ていたのか、たしぎは知る由もなかった。





〈続〉



しっかりお目付け役のキキョウと
お気楽、おっとり系のスイトピー。
九蛇では、戦士だけどね。(^^♪






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ワンピース大好き。
ゾロとたしぎは公認カップルと信じて疑わない。
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