ワンピース二次創作、ゾロたしのSS中心です。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
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如月ですね~。
雪は降っても、割とすぐに溶ける。
でも、やっぱり寒いわ~。
先日、長女と山形市に行ったとき、
「冬だけど、風ないね。」なんて驚きました。
ここでは、冬=強風 セットですねん!
おお~、これなら、歩ける!自転車乗れる!(笑)
そんな時に、寒い話を書きたくなりました。
「Blizzard Night」です。
「つづきはこちら」からどうぞ
ポチポチありがとうございます。
長らく工事中でしたサイトも「風シリーズ」の
UPも完了いたしました。
よろしかったら、覗いてみてくださいませ。
Lady Hawke
雪は降っても、割とすぐに溶ける。
でも、やっぱり寒いわ~。
先日、長女と山形市に行ったとき、
「冬だけど、風ないね。」なんて驚きました。
ここでは、冬=強風 セットですねん!
おお~、これなら、歩ける!自転車乗れる!(笑)
そんな時に、寒い話を書きたくなりました。
「Blizzard Night」です。
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Lady Hawke
「Blizzard Night」
「ちょっと、待って!待って下さい!」
私の叫ぶ声は、前を行く背中に届いているのだろうか。
不安に思いながら、たしぎは吹雪で視界の悪い中、
ゾロの姿を見失うまいと、足を速めた。
「くそっ!これじゃ、右も左もわからねぇな。」
ようやく追いついた背中越しに、ゾロの不機嫌そうな呟きが聞こえた。
重く立ち込めた雲のもと、海賊ロロノア・ゾロの姿を見つけ
ここまで追いかけてきた。
もちろん、ゾロも追われていることに気づき、逃げようとして
道を迷ったらしい。
不慣れな場所で、急に降り出した雪が次第に吹雪に変わる。
あっという間に辺りは雪で覆われ、さっきまで見えていた街の灯りも見えなくなった。
歩いていた道は、急に雪が深くなり、
自分がどこに向かって進んでいるのかさえわからない。
時折、襟元から入る細かい雪に首をすくめる。
すっかり冷えたグローブは時雨を握りしめ、力を入れたままだ。
道なき道を行き、かろうじて見えた灯りを目指し、
上り坂を登っている二人だった。
たしぎが追いついたのを確認すると、ゾロは少し歩みを遅くして、
再び歩き出す。
たしぎも、今度は離れないように、ぴったりと後ろをついて行った。
「着いたぞ。」
ようやく風がやんだと思い、たしぎが顔をあげると
目の前には、見上げるほど大きな煉瓦造りの屋敷がそびえ立っていた。
ギィー。
思い木の扉を押して、中に入る。
扉を閉め、ようやく一息つくことが出来た。
思ったい以上に、緊張していたようだ。
「すいませ~ん!誰かいませんか?」
大きな声で叫ぶが、何の返答もない。
ゾロは、辺りの様子を伺いながら、壁に備え付けてある蝋燭に
次々と玄関先に灯してあったランプの火を灯していった。
「ちょっと、何、勝手に!」
「なに、かまやしねぇ。」
随分遠慮ない訪問者だと思われないかと、たしぎは、ひやひやした。
それでも、火が灯り仄かに明るくなった室内に、安堵の気持ちが広がった。
大きなロビーのような玄関の奥には、ソファとテーブルが置かれ、
暖炉があった。
奥に続く廊下の先は暗く、よく見えない。
カチッ、カチッと何度か火打石を鳴らして、ゾロが暖炉に火を入れる。
「どうやら、薪も湿ってないようだ。」
煙たい臭いも落ち着く頃、暖炉に赤い炎が揺らめき、
ようやく微かな温かさが流れてくる。
「ほんとに誰もいないのかしら。」
「気づけば、誰かやってくるだろ。」
こういう無神経なところは、毎度のことながら
大したものだと、たしぎは思ってしまう。
海賊だからなのか、もともと図太いのか、とても真似できないと
思うと同時に、真似したくもないと笑ってしまう。
暖炉の前に、ソファを引っ張ってくると、
どさりと腰を下ろした。
「お前も、あたれ。」
顎で、空いたソファの端を指し示す。
「あ、はい。」
優しいのか、不遜なのか。
たしぎは、ソファの端にちょこんと座ると、
時雨を側に置き、手を伸ばす。
バチバチッと火がはぜる音とともに大きな薪が燃えだすと、だいぶ温かくなった。
濡れて貼りついたグローブを、かじかんだ指先でやっとのこと外した。
ほとんど感覚のない指先に、じわりと血液が流れるのがわかる。
「あったかい・・・」
ほっとして、大きく息を吐くたしぎの姿を、じっと見つめるゾロ。
暖炉の火は、まだ全身を温めるには至らず、はく息は白く、
濡れた髪のまま、たしぎは微かに震えている。
揺れる炎に照らしだされる横顔の、濡れた髪も白い肌に
ゾロは、思わず目を奪われる。
ガタン。
ゾロは、立ち上がると部屋を歩き回る。
「なんか、食いもんねぇか?」
乾燥したトウモロコシとにんにくが紐で連なりぶら下がっていた。
あきらめて、暖炉の前に戻ると、ゾロは脇に積まれていた黒い塊を火にくべ始める。
「なんですか?それ。」
「炭だ。これに、使えそうだ。」
そう言って、たしぎにむかって放り投げたのは、
なにやら小さな入れ物だった。
「なんですか?これ。」
「カイロだ。昔、道場で見たことある。」
「へぇ。随分、年代物みたいですね。」
たしぎからカイロを受け取ると、火がついて赤くなった炭を
その入れ物に入れる。
しばらく、置いて、温かくなるのを待つ。
「よし、持ってろ。」
渡されたカイロは、じわりと温かく、たしぎは持ったまま、かじかんだ指を温めていた。
さっきから、何もできずに、私は、座ったままだ。
そう思いながらも、身体が固まったように、火の前から動けない。
「あ、ありがとう・・・ロ、ロロノアは?寒くないんですか?」
「オレか?オレなら、これがある。」
そう言って、どこから見つけてきたのか、ワインの瓶を掲げてみせる。
栓を抜くと、暖炉の灰にズボッと瓶ごと刺した。
「熱燗がいいだろう。」
ニヤリと笑う横顔を、たしぎはただ見つめていた。
程よくあたたまったワインの瓶を取り出すと、口をつける。
ぐびぐびと、上下に揺れる喉仏をたしぎは見つめる。
ほんとうに、美味そうに酒を飲む。
「うん、いけるな。」
口元をぬぐうと、瓶ごとたしぎに差し出した。
「ほら。お前も飲め。」
「あ、あたしは・・・いいです!に、任務中ですし・・・」
「ばか、何言ってる。少しは暖まるぞ。」
「・・・はい。」
いつもは、文句ばかり言って相手にしないロロノアが、
どうしてこんなにやさしいんだろう。
なんだか、変な気持ちだった。
「どうした?」
「い、いえっ!なんでもありません!」
たしぎは、頭を振って、余計な思いを振り払う。
ワインの瓶を受け取ると、ゴクリゴクリと、飲みこんだ。
「ケホッ!」
勢いよく飲みこんで、、むせてしまう。
そんな様子を見つめるゾロの視線は、柔らかい。
「ば~か。あわてんな。」
カラッポの胃が、ホットワインで熱くなる。
酔いなのか、温かさなのか、顔が火照りだした。
赤みが戻ったたしぎの顔を、ゾロは満足そうに見やる。
「ふわ~~~~あっと!」
大きく伸びをすると、ソファに身体を投げ出すと呟く。
「寝るかぁ!」
「寝るんですか?」
「この天気じゃ、夜が明けるまで、どこにも出れないだろ。」
何を今更と、ゾロが答える。
「そ、そりゃそうですけど・・・無防備すぎます!」
「そうか?」
シュルシュルとサッシェをほどくと、コートのボタンを外す。
その様子をたしぎはポカンと見つめる。
「それ、ちょっと貸しな。」
差し出された手に、言われるままカイロを乗せると、
ゾロは、腹巻の間にカイロを滑り込ませた。
そして、おもむろにたしぎを見つめる。
「来いよ。」
へ!?
ゾロの意図がわからず、立ち尽くすたしぎに構わず、
たしぎのコートのボタンをはずし始める。
「なにするんですか!?」
思わず、前を重ねようとする手は、軽くいなされる。
「あっためあうんだよ。雪山で遭難のジョーシキ!」
「えっ、ちょ、ちょっと!」
ゾロの方が、一枚も二枚も上手だった。
あっという間に、シャツのボタンまで外されると
ぐいっと引っ張られる。
するりと脇腹に入り込んだゾロの手の冷たさに、思わず叫び声えをあげる。
「ひぃゃああっ~~!」
「カエルみたいな声出しやがって。」
ゾロは、笑いながら背中に手をまわして、たしぎを抱き寄せる。
たしぎの顔はゾロの胸に押し付けられた。
冷たいゾロの手を背中に感じながら、たしぎは思う。
自分だって、こんなに冷えているのに・・・
おそるおそるゾロの背中に手を伸ばす。
密着する肌と肌。
ゾロの胸板は固く、たしぎの胸の膨らみが、やわらかく包みこむ。
ゾクリ。
ゾロは、震えながら、指先に力を込める。
「ロ、ロロノア・・・く、苦し・・っ!」
たしぎに言われるまで、気づかなかった。
「わりぃ。」
照れくささを隠すように、頬を寄せる。
重なり合った頬と頬は、お互いの表情を隠してくれた。
ドクン、ドクン・・・
心臓の鼓動だけが、響く。
どうしよう。
戸惑いながらも、心地よさに身をゆだねる。
暖炉の炎は、重なり合う二人を浮かびあがらせて、
ゆらゆらと熱を放出し、包み込む。
ずっとこうしていられたら・・・
ささやかな願いを思い浮かべながら、たしぎの瞼は、ゆっくり閉じられていった。
〈続〉
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