ワンピース二次創作、ゾロたしのSS中心です。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
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地元のお祭りが終わりました。
今年は娘が太鼓で参加しました。
やっぱり、見に行かずにはいられない。(^^♪
昼間からビールを飲む幸せ♪
タモさんか!(笑)
思いがけない人とも遭遇して、
びっくりしたり。
5月はいい季節だね~~♪
さて、久しぶりに、今回は
罪なヤロウのお話です。
「オレが悪いのか」前編です。
「つづきはこちら」からどうぞ
「オレが悪いのか」
まだ朝もやが辺りを覆い、
建物の輪郭さえもぼんやりと霞む中、
数名のものと思われる足音が響く。
ざっ、ざっ・・・
その足音が進む道には、
昨日まで三日三晩続いた祭りの名残りに満ちていた。
色とりどりの紙ふぶきに、金銀の飾りの切れ端。
飲み食いした紙やプラスチックの皿や箸のごみも、あふれていた。
人々の喧騒や、子供達のはしゃぐ声までが
耳に残り、どこか遠くでお囃子がまだ鳴っているように思える。
しかし、足音の先頭を行く女の頭の中は
目的の酒場に、まっすぐにたどり着くことだけで占められていた。
「ここですね。」
たしぎが小さく確認すると、
すぐ後ろにいた海兵から「はい。」と短く返事があった。
「では、行きます。」
すっと息を吸い、背筋を伸ばすと、
たしぎはドアに手をかけた。
ギィ。
古い酒場の木の扉は、いくらそっと押しても
辺りに大きな音を響かせる。
客の居ないカウンターには
マスターらしき男がうたたねをしていた。
たしぎ達に気づくと、げんなりした顔で店の奥に続く
ドアを顎で指し示した。
たしぎは頷くと、「ご協力ありがとうございます。」と
小さく頭を下げた。
実際、酒場のマスターからの報せではなかったが、
この店に麦わらの一味が訪れたとの目撃情報から、
海軍の方から店への突入を承諾させたのだ。
断わった時の商売への影響を考えると店としては、承諾せざるをえなかった。
海軍への協力が海賊達の知るところとなった時の影響と
天秤にかけ下した判断だ。
この街では、まだ海軍の力の方が強い。
政情が変われば、またどうなるかわからない。
その時々で、柔軟に対応していかなければ、この街で
酒場など続けられないのだ。
しかし、ここ二日ほど、この酒場兼宿屋に滞在した
麦わらの一味の男達は、騒ぎを起こすでもなく、
支払いを渋る訳でもなく、客としては上出来の部類だった。
今から、どんな捕り物が繰り広げられるのか、
マスターは少しだけ気になった。
先頭のたしぎがドアを開け、階段を上っていく。
店の入り口に二人。
今開けたドアに一人。
あとの三人が、たしぎの後に続いた。
気配を気取られないようにと注意しても
あの男には、通用しないだろう。
眼光するどい顔が、たしぎの脳裏ぬ浮かぶ。
部屋のドアの前に立つと、大きく息を吸い心を落ち着ける。
左右の部下達に目配せをすると、ドアノブに手をかけた。
相手に身構える隙を与えない。
それが突入の第一条件だ。
バタン!と大きくドアを開け放つと、
勢いよく部屋になだれ込んだ。
いきなり鼻をつく強い酒の臭い。
あちらこちらに転がっている酒の瓶が
連日の宴を物語っていた。
酒場の主人からは、泊まっている麦わらの一味は三名と聞いている。
三人部屋にしては広く、部屋の中央に豪華なソファとテーブルが備え付けられている。
奥にあるドアは寝室へとつながっているのだろう。
ソファに寝転がっているのはフランキーだ。
大きな身体が床にずり落ちている。
その横には、狭い隙間に押しつぶされるように
ウソップが眉間に皺を寄せながらうなされている。
「バァロォ、もう飲めねぇって・・・」
そして、反対側のソファに毛布にくるまるように
チョッパーの帽子が覗いている。
「もっと、もっと、わたあめ持って来~い!ふにゃ・・・」
海軍に踏み込まれたというのに、なんとも緊張感がない。
随分となめられたものです。
たしぎは、部下に目配せをして、すっと時雨を抜く。
「麦わらの一味!覚悟しなさい!海軍です!」
たしぎの凛とした声が響き渡る。
「うわっ!」
「なんだ!?」
ウソップとチョッパーが飛び起きる。
辺りを見回しながら、入口に立っている海兵の姿を見つける。
そして、たしぎの顔を見た途端、安心したように
再びソファに座る。
「たしぎかぁ、びっくりさせんじゃねぇよ。」
ウソップは顔を両手でごしごしこするように、まだ眠そうな目を
覚まそうとする。
「たしぎ!お前も、お祭りに行ったか?
すごかったなぁ、あの行列!オレなんか、わたあめとリンゴ飴、
死ぬほど食ったぞ!もう食えねぇよ!」
チョッパーも、寝起きだというのに
テンション高く話し出す。
フランキーは「よぉ。」と手を上げただけで
眠たげに、再び目を閉じた。
その様子に、あきれて抜いた時雨も鞘に戻すたしぎだった。
慌てて逃げることはないだろうと思ってはいたが、
ここまで警戒されないとは。
「なんなんですか、あなた達は!
麦わら一味の三名!おとなしく連行されなさい。」
「おいおい、野暮だな、まったく。」
フランキーが頭を振って、身体を起こす。
「海軍には、祭りを楽しもうって気はないんかい!」
「お祭りと任務は別です。」
人手が足りずに、この三日間、大忙しで
祭りなど楽しむ余裕などなかった。
ほんとに、いい気なものです。
はぁっと小さくため息をつくと、床に散らばる女物の服が目に入った。
確か、三名との報告だったはず。
ナミかロビンが居るのだろうか。
たしぎは、服を拾い上げると
「他に誰かいるのですか?」
ぐるりと部屋を見回した。
途端にギクッとしたウソップと目があった。
「お、おれは何にも知らねぇ・・・」
と首をブンブンと左右に振る。
チョッパーに視線を移すと、目がキョロキョロ動いてこちらを見ようとしない。
「ほかにもいるんですね。」
洋服にストッキング、それに、レースのついたブラジャーまである。
それらは、点々と寝室へ繋がるドアの前まで続いていた。
ひとつひとつ拾い上げ、たしぎはそのドアに近づいた。
「寝てるところ、起こしたくないですが、しかたないです。
あなた達は、この三人を見張ってて下さい。」
「はっ。」
振り向いて二人の部下に命令すると、たしぎは寝室のドアへを見据えた。
「あ~~、やめたほうがいいって!たしぎぃ!」
ウソップの力ない声が耳に入る。
「だから、野暮はやめろっての。」
フランキーが、しょうがねぇ女だと言わんばかりに
斜め上からたしぎを見下ろしていた。
なんだっていうんですか。
私は、任務で来ているんです。
あなた達にとやかく言われる筋合いはありません!
胸の内に湧き上がる憤りが、眉間の皺と荒い鼻息となって
表れた。
バタン!
勢いよく開けたドアは、暗い室内に明るさを届けた。
四つのベッドが部屋の左右に配置されている。
窓のカーテンは閉まったまま、この部屋にいる者は、まだ寝ているらしい。
「海軍です!麦わらの一味、連行します。無駄な抵抗はしないで下さい。」
「なぁに?誰よ~!」
「ちょっと、いきなり部屋に入ってくるって、どういうつもり!?」
眠たげな声に不満がこもる。
むくりと一つのベッドから身体を起こしたのは
上半身に何も身に着けていない見知らぬ女二人だった。
「あなた達は、何者ですか?」
「はぁ?それはこっちの台詞よ!」
「私は、G-5海軍大佐たしぎです!麦わらの一味と一緒に居るあなた達にも
話しを聞く必要があります。軍まで同行してください。」
「ちょっと何言ってんのよ!」
「そうよ、私たちはただ、酒場で飲んでる男達についてきただけ!
一緒に酒飲んじゃ、いけないっていうの!?」
「酒を飲むのに、裸になる必要があるんですか?」
騒ぐ女二人に、たしぎの冷静な言葉が答える。
「それは、だってねぇ・・・」
急にしなを作るように、二人目配せをする。
「やっぱり、いい男だもの。ねぇ」
「お近づきになりたいと思うのは、別にいいでしょう。」
はぁ?
あったばかりの男達のベッドに裸で潜り込むなんて、
たしぎには理解できない感覚だ。
「その男前達は、部屋に居ます。望みは叶わなかったようで。」
何言ってるの?という顔を見合わせた女達は
「そうねぇ、残念だったけど、ま、いいかぁ。」と
お互いに含み笑いをする。
「そうねぇ。」
そう言いながら、顔をベッドの反対側へと向けた。
たしぎの方こそ、二人の意味するところがわからず、キョトンとする。
「ん、なんだ、お前ら、ゆっくり寝かせろよ。」
ベッドの向こう側から、いきなり声がして、たしぎを驚かせた。
むくりと起き上がった声の主は、まだ眠そうで不機嫌な顔のロロノア・ゾロだった。
「ったく、うるさくて敵わねえな。」
頭をぼりぼりと掻いて、大きなあくびをする。
白いシーツを巻きつけた上半身は、何も身に着けておらず
大きな傷跡が、はっきりと見えた。
それ以上にたしぎの視線を捕えたのは、
ところどころに付けられた赤い口紅の色だった。
なっ、どっ・・・
カーッと頭に血が上り、顔が熱くなるのが自分でもわかった。
言葉が出てこない。
手にした女物の下着を握りしめたまま、プルプルと小刻みに手が震え始める。
「ロ、ロロノア・・・・」
絞り出した声に、ゾロが顔を向ける。
「なんでお前が此処にいるんだ?」
片眉をピクリと上げて、迷惑そうな物言いに、
たしぎの中で、ブチンと何かが切れた気がした。
〈続〉
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