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ワンピース二次創作、ゾロたしのSS中心です。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
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15日、小正月です。
世の女性は、忙しいお正月が過ぎて、ゆっくりするそうです。
いつも、ゆっくりしているそめたですが、

初春の行事も終わり、たしぎもゆっくりするんだろうな。
そんな、お話です。
「つづきはこちら」からどうぞ。

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ふぅ、とため息をついたのは、決して嫌な訳ではなかった。
明日、つる中将、通称おつるさんの開く初釜のお茶会があり、
たしぎは、手伝いに行くことになっているのだ。
毎年恒例行事で、総帥、元帥、三大将、そして任務外の中将達が招かれる。

上層部を招いての茶会故に、男の海兵もいるが、
やはり女の海兵が主に手伝うことになる。
新人研修のときに、皆おつるさんに教えてもらった。
新人のころは、何故茶道なんか、やらなければならないのかと、
いやいやだったが、これも精神修行と割り切ったら、
以外に楽しくなってきた。とはいっても、任務第一で、
ほとんど、年に一度のこの茶会を手伝うだけである。

お茶会といえば、優雅に思われるが、裏方は相当ハードだ。
お湯の準備から、茶碗を洗ったり、お菓子を盛り付けたり、
何服ものお茶を点てるのは、腕が張る。

着慣れない着物での動きは、普段鍛えているたしぎでも、
ありえないようなところが筋肉痛になってしまう。
まだまだ、姿勢が悪いんだろう。

だから、相当気合いと入れて臨まないと、
あとで大変なことになる。

ただ、おつるさんはもちろんだが、普段お目にかかれないような
元帥だの、大将の面々に会えるのは、貴重な機会だ。
「英雄ガープ」と呼ばれるガープ中将は、いつも声をかけてくれ、
早くに両親をなくしたたしぎにとって、嬉しいものだった。

そして、もう一つ、母が残してくれた着物に袖を通す
数少ない機会でもあった。
薄萌黄色の無地の着物に、白地に八宝の模様が入った帯を締める。

姿見に映る自分の姿に、母の面影を重ねる。
たしぎは、ずっと、母のことを弱い人だと思っていた。そして、父を強いと思っていた。
今なら、分かる、母も強かったのだと。
幼い頃の想いと今の感情が、入り乱れる。

「ほらっ、たしぎ、帯直してあげる。」声を掛けられて、はっとする。
後ろにヒナが、立っていた。
「まったく、毎年、毎年、かったるいわね。たしぎ、綺麗よ。」
そう言うヒナは、紫紺の着物に、黒地に金糸使いの鳳凰文の帯をしていた。
遠くからでも人目を引く姿に、圧倒される。
「あ、ありがとうございます。ほんと、ヒナさん、何着ても、似合いますね。」
「あら、そう? ま、偉くなって、招かれるようになったら、もっと派手なの着れるんだけどなぁ。」
楽しそうに笑うヒナが、かわいく見える。

そこに、ガープ中将が通りかかる。
「おっ、ヒナ嬢、今度飲みに行くぞぉ、いいかぁ?」
「部下、口説いてどうすんですか?」
冷たく答えるヒナも顔は笑っている。
「おっ、たしぎも、がんばっとるな。刀コレクションは増えたか?」
「コ、コレクションじゃありませんっ!」
「はっ、はっ。今度見せに来るんじゃぞ。」
「もう、ヒナさんは誘うのに、私は、子供扱いなんですね。」
「ん?たしぎ、心境の変化か?誰かいい奴でも出来たのか。」
「いっ、いえっ!そうじゃありませんっ!」あわてて否定したが、ガープ中将は、
「朱き唇あせぬ間に~、恋せよ乙女じゃ~。はっはっはっ。」と笑いながら、行ってしまった。
ガープに若い海兵が二人、付き従っていた。
金髪の長髪の方はヒナさんに見とれていて、ピンクの髪のもう一人は、目があうと会釈した。
たしぎは、真っ直ぐないい目をしていると思った。

*****

「皆、お疲れ様。茶の道も、剣の道も、みな同じだよ。
 まあ、いづれ分かる時が来るからね。」
茶会が無事終わり、おつるさんが手伝った海兵達に茶を点ててくれた。
動き回った後に、ゆっくり座っていただくお茶は、とても美味しかった。


ん~~~っ!
たしぎは、大きく伸びをすると、石畳の小路を隊舎に向かって歩き始めた。
すぐに着替えてもよかったのだが、もう少しだけ着ていたいと思ったので、
着物のままで帰ることにした。
和風の風情の街並みは、しっとりとした気持ちにしてくれた。
小さい川に架かる橋の向こう側から、数人の一団がやってきた。
先頭は、オレンジ色の髪をした足の綺麗な女の子だった。
たしぎは、すぐに麦わらの一味だと気づいた。
しかし、今日は着物姿で、丸腰だ。
舎に戻って着替えたら、またすぐに、出直してこよう。
そう思って、歩を速める。
ナミは、たしぎに気づくと、あら!という顔をしたが、意味ありげな笑みを浮かべる。
女の後ろには、荷物を抱えた男達。
黒いスーツの金髪の男は、ヒューと口笛を吹くと、
「お嬢さん、着物姿も素敵ですね。」と声を掛けてきた。

そのままやりすごすと、今度はピンクの帽子のトナカイ。
わたあめを片手にキョロキョロしながら、てこてこ歩いてくる。
和服姿が珍しいのか、ホエ~っとした顔でたしぎを見上げていた。

「おい、チョッパー、少しは手伝えよ。」
少し離れて、両手に荷物を抱えて、前がほとんど見えない様子でやってくる男。
荷物の横から、緑色の髪と金色のピアスが見え隠れする。
ロロノアだ。

少し緊張する。うつむき加減に、側を通り抜ける。
その瞬間、首をかしげてゾロをちらりと見る。
その視線に気づいたのだろうか、ゾロがゆっくり振り返る。

そして、そのまま動きが止まった。
たしぎは、かまわず離れていく。心臓が早鐘のように高鳴っていた。

「おい、ゾロ。」チョッパーに声を掛けられ、ゾロはハッとして再び動き出す。
橋を渡りきり、川沿いの道に出たところで、また後ろを振り返る。
たしぎは、丁度橋の真ん中に立って、こちらを見ている。
その立ち姿が、美しいと思った。

と、何かに足がぶつかった。

たしぎは、橋の上から、その様子を眺めていた。
何かに引っ掛かったように、バランスを崩すと、そのまま片足でとっとっと跳ねて、
荷物を派手にまき散らしながら、土手の下まで転がり落ちていくゾロの姿を。

「わぁ~、ゾロ~!」チョッパーが叫ぶ。
「あんたっ、何やってんのよっ!もうっ!」怒りのナミ。
あきれながらも、おかしそうに笑うサンジ。

おまけに、立ち上がろうとして、今度は川に落ちた。
土手の下まで、駆け下りてくる仲間。
チョッパーに手を貸してもらい、川から上がる。
皆、大笑いしている。

ナミがたしぎの方を見て、大きく手を振る。
様子を伺っていたことが恥ずかしくなって、慌ててそこを離れる。
離れながらも、おかしくなって、プッと吹き出してしまった。
「あははは。」今度は声に出して笑い出す。笑いすぎて涙が滲む。
決めた。
ロロノア、今日は見逃してあげます。

たしぎは、ゆっくり歩き出した。
冷たい空気が頬にあたり、心地よかった。

〈完〉


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ゾロとたしぎは公認カップルと信じて疑わない。
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