ワンピース二次創作、ゾロたしのSS中心です。
いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
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ようやく暑くなりそうで、
今まで過ごし易すぎたのよね、きっと。
さて、
今週のWJワンピース
「土下座」をうけまして、満を持して!
いや、今までかかっただけ!(笑)
藤虎とたしぎのお話です!
G-1本部で、顔見知りだったらいいなと
思ったことから・・・
「どちらさんも」前編です。
「つづきはこちら」からどうぞ
「どちらさんも」前編
「ありがとうございました!」
たしぎは深く頭を下げた。
目の前に居るのは、海軍大将藤虎ことイッショウ。
ここは、G-1本部。頂上決戦後の新海軍本部となった場所だ。
新世界での激務の合い間、G-1本部に立ち寄ったのは
スモーカー中将率いる、G-5支部01部隊の面々。
大佐となったたしぎも本部を訪れていた。
今度、新しく大将となった藤虎ことイッショウの噂は聞いていた。
なんでも、ものすごい剣の使い手らしいと。
「藤虎大将、一度、手合わせをお願いします。」
駄目もとで頼んだ剣の稽古を、藤虎は意外にも
快く引き受けてくれた。
「お嬢さん、いい筋してますよ。」
そう言いながらも、たしぎの剣を軽く受け流す。
隙がない。
ほんとに、目が見えないの?
信じられない。
圧倒的な力の差にに、たしぎは目を丸くした。
お嬢さんと呼ばれることも、
イッショウの海兵らしからぬ物腰のせいか、
気にならなくなっていた。
2時間ほどの稽古で、たしぎは息があがり、その場に座り込んだ。
「今日はこれくらいに、しておきやしょう。」
*****
着替えを済ませ、稽古場に出てくると
イッショウは、待っていてくれた。
たしぎは、恐縮して駆け寄る。
「藤虎大将、今日は忙しいところ、本当にありがとうございました。」
「イッショウと呼んでおくんな。」
「はい、イッショウさん。」
素直なたしぎの反応に、イッショウの顔が綻ぶ。
顎をさすりながら、少し照れた様に話しを切り出した。
「お嬢さん、いや、たしぎさん。
今度は、わしに付き合ってくれんかの?」
「は、はいっ!私でよければ、何処へでもお供します!」
急な申し出に、たしぎは緊張して背筋が伸びる。
それでも、悪い気はしなかった。
大将と話しする機会など、この先あるかわからない。
「じゃ、行きやしょうか。」
「あ、あの、スモーカーさんに、上司に報告だけしたいのですが・・・」
再び時間をとらせてしまうのは、気が引けたが、
スモーカーだけには、知らせておくべきだと思った。
「あぁ、よござんすよ。ここで待ってます。」
たしぎは急いでスモーカーの元へ行くと、
事の次第を報告した。
「わかった。」
特に反対するでもなく、スモーカーは頷いただけだった。
以前、ヤリスギ准将にも勤務時間外の用事を命令されそうになったときは、
部隊の仕事があるからと、直接断ってくれた事があった。
今回は、何も言わずにスンナリと認めてくれたという事は
大将藤虎は、信頼のおける人物だということだろうか。
たしぎは、まだ得体の知れないイッショウのことを思いながら
本部を後にした。
イッショウの元に戻ると、たしぎも良く知る黒檻のヒナが
何やら楽しそうに二人で話し込んでいた。
「イッショウさん、お待たせしました。」
たしぎは声をかけると、ヒナが代わりに答える。
「待ってたわよ、たしぎ。まったく、あんたの上司は
心配性なのよ。さぁ、行きましょ!」
「え?ヒナさん、イッショウさんとはお知り合いだったんですか?」
「えぇ、たった今ね。」
「そうでございやす。あっしが、ナンパいたした訳で。」
「ほんと、手が早いんだから。」
どこまで本当のことなのか、たしぎはポカンと口を
開けたまま、ヒナに腕をとられ、連れて行かれる。
「まずは、おいしいもの、ご馳走してくださいね、大将!」
「はいはい、よござんすよ。今夜は両手に花だ。」
訳のわからないまま、イッショウの行き付けの小料理屋で
美味しい和食をご馳走になった。
小さな小皿に盛られた一品料理は、目も舌も楽しませてくれてる。
ヒナとイッショウは何本も徳利を空にしていた。
店を出ると、少し大きな建物につれて行かれた。
なにやら騒がしい場所で、大勢の人の気配がする。
怪訝な顔をしているたしぎに、イッショウが説明する。
「ここは、海軍公認の遊技場。ま、たまには海兵さん達も
息抜きが必要ってことでですよ。」
たしぎは、話しには聞いていたが訪れたのは今回が初めてだった。
通された一室は、板張りの部屋で中央に畳が敷かれている。
両脇にずらっと、男達が座っていた。
「賭場は、初めてですか?たしぎさん。」
「は、はい。」
「今日は、ちょいと盛り上げてやっておくんなせぇ。」
「は?」
ヒナと共に別室に案内された。
こらから何が起こるのか、たしぎには見当もつかなかった。
****
あっという間に、
たしぎは黒紅色の地味な着物を着せられていた。
「うわぁ、しぶいですね。」
「これだと、紅が映えるんだよ。」
おかみは、ニヤッと笑って
たしぎの顔に、真っ赤な口紅を塗る。
「それに、ほら。」
そう言ってめくった着物の裏地は
目を引く赤紅色だった。
銀糸の入った薄墨色の帯と
赤い帯締めが、また引き立つ。
「まるで、なんとかの妻ですね。」
「正義のマントを着けてなきゃ、ほんと、
堅気かどうかなんて、わかんないからね。」
おかみが、たしぎの帯を整えながら、笑う。
「あら、そういうおかみさんだって、
立派な士官じゃないですか。」
後ろから、自分で着替えたヒナが姿を現わす。
「ええ!?海兵さんなんですか?」
たしぎが驚いておかみに聞けば、「事務方だよ。ほんと、お局だから。」と
はははと笑う。
いえ、お局というより、立派な姐御です。と内心思う。
「でも、すごい福利厚生ですよね。って、ヒナさん!」
艶やかな紫色の着物を着たヒナは、どっからどう見ても、
極道の女に見えた。
長身のヒナは、胸元と裾に大きな牡丹をあしらった深い本紫の着物に
控え目の黒い帯、指し色の朱の帯締めと襦袢が効いている。
ゆるくまとめた髪には、銀の簪。
いつもの煙草は、キセルに変わっている。
こっちも、相当な姐さんだ。
たしぎは、二人の迫力ある姐御に挟まれ、
ツボよサイコロを渡された。
「いいかい?こういうのは気合大事だ。
男どもに、舐められたらあかんよ!」
やけに威勢のいい姐さんに手ほどきを受けること数分後、
「あとは、慣れだよ!」といきなり賭場へ向う。
「あんたは、心配いらないよ、むしろ、
今日からここを任せたいくらいだ。」
ヒナは、押された太鼓判にまんざらでもなさそうに笑う。
「ま、楽しんでおいで!」と背中を軽くたたいて送り出してくれた。
〈続〉
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