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ワンピース二次創作、ゾロたしのSS中心です。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
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2015 ゾロ誕 HAPPY  BIRTHDAY!!!

うぇ~~い!ヽ(^o^)丿

ポッキーCMの曲が、頭ん中ぐるぐる♪


WJ、久しぶりに来週休みってのが堪えたぁ!

ナミの涙は、つ、辛いよ~~~!!!(T_T)

ヒロアカ、アニメ化おめでとう!
逢魔ヶ時動物園も、おもろいで~~!



さてさて、いつもポチポチありがとうございます。
ゾロたし月間と言いつつ、なにも企画出来ずじまいでしたが、
抱えている続きものを、載せるほうがいいかなと思いました。


今年は、ぜんぜん誕生日話じゃありませんが、
風シリーズ、第二部、始まりま~す!


現代パラレル話です。
学生時代に付き合っていた二人、思いを引きずったまま
卒業と同時に、それぞれの道に進みました・・・

「暁 AKASUKI」
よろしかったら「つづきはこちら」からどうぞ。



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「暁 AKATSUKI」







その日、今年最初の木枯らしが東京の街を吹き抜けていった。



都心のビルの一角で、写真展が開催されている。

盛大ではないが、ここ数日、人の出入りは絶えない。


出入り口にたたずむ若者が一人。

肌寒いのに半袖Tシャツにジーンズ姿で、古びたナップザックを
肩からかけている。


出入りするスーツ姿の人たちから見れば、誰もが場違いだ思うことだろう。



覚悟を決めた様子で中に、若者は中に入った。


受付で名前を書き、一言二言何か告げると展示された写真を見て回る。

時折、立ち止まりながらゆっくりと歩く若者に、黒いスーツの男が近づいた。



若者は気づいて、口を開く。

「はじめまして。連絡したロロノア・ゾロです。」


「君か。」

スーツの男は、顎髭を撫でながら頷いた。



「ここじゃなんだし、一緒に来てくれるかい?」

「はい。」


ゾロは、まだ見ていない展示写真にちらりと視線を送ると
離れないように黒いスーツの男を追った。



*******



ふう~~。


ビルから出てきたゾロは、すっかり暗くなった空を見上げると大きく息を吐いた。



街灯や飲食店の看板の明かりが点くと、街は昼間とは違った雰囲気を醸し出す。



キョロキョロを辺りを見回しながら、駅に向かって歩き出した。



*****


「では、来週。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

ほんの十数分前、黒いスーツの男に頭を下げ、話は決まった。



髭の男の名は、ジュラキュール・ミホーク。
鷹の目を持つアーティストと謳われる写真家だ。


ゾロがメールで送った写真を見て、今日、会う機会を設けてくれた。

この面談の為に、撮りためた中から、ゾロはフィルム3本分を空港で現像し持参した。


「これ、現像は自分でか?」

「いえ、空港のDTPで。」

「そうか。他にも?」

「はい。」

バックパックを開けると、ぎっしりフィルムが詰め込まれていた。



「君の他の写真も見てみたいな。」

「えっと、全部現像するとなると・・・」

慌てて財布の中身と、口座の残高を思い浮かべる。

「心配しなくていい。うちのスタジオでやるから。」


「現像はできるかい?」

「いいえ。」

「ふむ・・・」


「住いは?」

「えと、まだ、帰国したばかりで、決まってません。」


「今週は無理だが、来週、ここのスタジオに
 フィルム持って来れるか?」

そう言って名刺を取り出した。

「はい。」

「そうか、では、月曜の10時に、スタジオで。」

「あ、ありがとうございます。」



*****


この先どうなるか決まったわけではないが、
思いがけない話しにゾロは夢見心地で、地面に足がついていないような気がした。



帰国を決めてから、ネットでこの時期、個展を開いている写真家を探した。

紹介サイトを巡って、一人の写真家にメールを送った。

幸運にも返事をもらえた。それが、鷹の目だった。



一年間の海外ボランティアを終えると、ゾロは旅に出た。

東南アジアから、中央アジア、ヨーロッパから北欧、アメリカ、南米と巡った。

ほんの数日の滞在で過ぎた国もある。
気に入れば、ビザぎりぎりまで滞在した。

渡航前に、なにげに買って持っていったカメラが旅の相棒になった。


見たこともない景色に圧倒されてばかりで、
いつしか、そんな場所を求めて旅を続けるようになっていた。




気がつけば、旅に出て、二度目の冬を迎えようとしていた。

少しだけ、自分の目指す道というものが見えてき始めた頃、
故郷で暮らす父コウシロウが電話越しに言った。
「一度くらい、帰ったらどうだ。」


まだ、訪れていない場所が沢山あった。

それでもコウシロウの言葉に感じるものがあったのかもしれない。

本格的な冬が来る前に、帰国を決めた。



*****



ゾロは携帯を出すと、コウシロウに電話をかけた。

今日、帰国することは伝えてあった。


「着いたのか?」

電話には、すぐにコウシロウが出た。


「あぁ、いま東京だけど、そっちに顔を出すのはもう少し後になりそう。」


「どうした?」

「ん、ちょっと。」

まだ、言わないでおこう。



「来週には、わかると思う。」

「そうか・・・それまで、泊まるところはあるのか?」

「あぁ、カプセルホテルにでも泊まる。」


「・・・・」

少しの沈黙の後、コウシロウはいい事を思いついたかのように、切り出した。

「それなら、明日、私がそっちに行くから、なんか美味いものでも食おう。
 日本食が恋しくてしかたないだろう。寿司か?天ぷらか?」

「いや、平気だってば。」

明日、昼過ぎに東京駅に迎えに行くことにして、電話を切った。


コウシロウの思いがけない行動に、
なんだか自分のしてることは、すごい親不孝なんじゃないかとゾロは思った。



******


明日の予定が決まると、無性に腹が空いた。

空港で、蕎麦を食べただけで胃はからっぽだった。
さっきのコウシロウの言葉に刺激されたのかもしれない。



ガラガラとスーツケースを引きずって、目的の店にたどり着いた時には
看板の灯りは消えていた。

ドアの内側にかかったカーテンの隙間から明かりが漏れている。
店内にはまだ人の気配があったが、ゾロはしばらくドアの前に立ち尽くしていた。


カラン。

急にドアが開いて、CLOSEの札を持ったサンジが出てきた。

ドアの前に立つゾロの姿を見て、咥えた煙草が転がり落ちた。


「お、お前・・・いつ、帰ったんだ?」

「今日の昼。」



「なに、こんな所で突っ立って。」


「・・・・あぁ、もう閉店だと思って。」


「っていうか、まっすぐここに来たのか?」


「腹減った。」



不意に笑いだすサンジ。


「あははは、わかった、ありあわせでよけりゃ、何か作ってやるよ。」


「ほんとか?ありがてぇ!」


サンジは、札を掛けるとゾロを招き入れた。




*******





ゾロは、いつものカウンターの席に座る。

サンジは、エアコンのスイッチを入れると、冷蔵庫から材料を取り出し始めた。

「ちょっと待ってろよ。」


振り向けば、変わらぬ店内。

使い込まれたテーブルと椅子も、2年前と同じでそのままだった。


変わったことといえば、サンジが髭を生やしていたくらいだ。

ゾロの視線に気づいたのか、サンジがにやりと笑う。

「評判いいんだぜ、セクシーだって。」

ぶっ、ゾロは思わず吹き出した。



「お前は、変わらないな。髪が少し伸びたぐらいだ。」

忙しく手を動かしながらも、ゾロの様子をしげしげと眺める。



「あぁ、変わんねぇ。」

何も・・・

短髪の髪は、伸びて後ろに撫で付けるようにしている。
旅先で、自分で適当に切るのが習慣になった。


「はいよ。お待ちどうさま。」

目の前に大盛りのスパゲティが置かれた。
湯気と香りが胃袋を刺激する。

「いただきます。」

変わらずに両手を合わせるゾロを、サンジは優しく見守った。




******



むくりと起き上がった場所は、『オールブルー』の店内だった。

昨晩、閉店後に訪れたゾロを、サンジは快く迎えてくれた。


旅の話を聴かせろと、サンジが身を乗り出して、夜更けまで話しをした。
途中から、アルコールが入り、こんなにゆっくりしたのは何時以来だろうと
思うほど、心地良い時間が流れた。


盛りだくさんな一日の疲れで、ゾロがうとうとし始めると、
サンジが毛布を引っ張りだしてきてそのままソファで崩れるように眠った。








まだ、夜明け前。辺りは薄暗い。


ゾロは、同じくソファで眠っているサンジを起こさないように
ドアのチャイムを押さえて、外に出た。


旅の習慣で、朝早く目が覚めてしまう。
時差ボケもないようだ。



思い切り両手を伸ばし、背中を反らした。


いつもの癖で、軽く走り出す。


この辺りは、オールブルー以外は知らない街だった。
それでも、日本に帰って来た思いが、なつかしさを感じさせる。


一刻、一刻と色を変えていくこの時間がゾロは大好きだ。
何かが始まる期待と予感が、胸に湧き上がる。





いけね、どれくらい走ってた?


はっと気づくと、身体の向きを変え、オールブルーに向かった。


夜明けの澄んだ空気に触れるだけのつもりだったのに。





*****


カラン。

オールブルーのドアを開けると、
店内にはコーヒーのいい香りが漂っていた。

「お、おはよう。すまん、すぐに戻るつもりだったんだが。」

「別に、かまわないぜ。」


カウンターに立つサンジは、手元のコーヒーランプを見ながら答える。


「わりぃな、泊まって。お前も、家に帰ってないんだろ。」

「いいってことよ。」



洗面所で、用を済ませ顔を洗ってもどると、カウンターに座った。



淹れたてのコーヒーが目を覚まさせてくれた。



「こっちに住むのか?」

「あぁ、そのつもりだ。」

「じゃあ、また来いよ。」

「ああ、そうする。ありがとうな。」


サンジは食事の代金を帰国祝いだとして受け取らなかった。
そこで、ゾロは昨日現像した写真の中から一枚選んで差し出した。

「へぇ、綺麗な場所だ。」

しばらく眺めると、くるりと後ろを向いてレジの壁のコルクボードに貼り付けた。

そこには、ゾロが一度旅先から送った写真が貼られていた。

手紙もつけずに、写真だけ送ったのだった。


「その写真・・・」

「あぁ、貼っといた。」

「・・・サンキュ。」

ゾロは、なんだか照れくさくなった。




「じゃ、また。」

そう言って、オールブルーを後にした。





まだ早い朝、向かいのバイク屋『フランキーハウス』はシャッターが降りている。

引き取ってもらったゼファーは、もう売れてしまっただろう。
大事にしてくれる人に、渡ったのならいい。

ここにも近いうちに顔を出そう。

そして、またいつか、自分もあのエンジンの振動を感じながら
風を切りたいと思った。





<続>









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ワンピース大好き。
ゾロとたしぎは公認カップルと信じて疑わない。
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