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ワンピース二次創作、ゾロたしのSS中心です。 いらっしゃらないとは思いますが、禁無断転載でお願いします。
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たしぎを取り巻く人々。
スモーカーとヒナ、二人の時間。

「つづきはこちら」からどうぞ。

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カランと音がして、扉が開く。
入って来たのは、背の高い、長い髪の女だった。
手袋をはずし、首にかけたスカーフをするりと取り去る。
ボーイに預けると、まっすぐカウンターの一番奥に座っている男の元に向かう。

「待たせたわね。」
すっと隣の席につく。席の男は、シャツのボタンをだらしなく開け、
ネクタイはかろうじて首にひっかかっている。
「あら、着けてくれたのね、そのネクタイ。」
「ん、ああ。」

「まったく、帰りがけに中将に引きとめられて、ヒナ大迷惑。」
そう言うヒナの服装は、仕事でいつも着ている黒いスーツ。
中だけは、着替えてきたらしく、シルバーのタンクトップの胸元のラインストーンが
艶やかさを、映しだしている。

マスターの視線に応えるように、「喉が渇いたの。何かゴクゴク飲めるもの頂戴。」
とオーダーをする。
白髪の男、スモーカーは、無言で残り少なくなったグラスを掲げ、おかわりを要求する。
薄暗い店内に、一見目立つような取り合わせの二人の男女は、しっくりと馴染んでいた。

「ん、おいしい。」出されたジントニックを一口飲んで、と舌をちろっと出すしぐさが、愛らしい。
心なしか、スモーカーの顔が緩んだように見える。

「ねえ、たしぎの噂を聞いたんだけど。」
ヒナが、急に真顔になってスモーカーの方に向き直る。
「あん?」新しく火をつけた葉巻をくわえながら、片眉をあげる。
「たしぎが、麦わらの一味の一人を、執拗に追っているって。」
「なんだ、そんなことか。」
知ってると言わんばかりの顔だ。
「でもね、その相手と通じてるっていう話もあるの。」
「・・・」
「本当なの?」
ふうっと大きく煙を吐きながら、なんと言っていいのかというような顔をする。
「たしぎが、麦わらの一味の剣士を追っているのは皆知ってる。
通じているかどうかは、俺の知ったこっちゃねえ。一味の誰かと出来てようが、
麦わらをしとめることができれば、ムダじゃねえだろう。」

「なに?じゃあ、たしぎはおとりなの?」
「そんなふうには思っちゃいねえ。たしぎは、かわいい部下だ。」

「たしぎが、もし傷つけられたりしたら俺が黙っちゃいない。」
スモーカーは、アラバスタのレインベースで、船長命令だと言って、自分を助けた若者を思い浮かべる。
見逃すと言った時の、笑顔を。
苦虫を噛み潰したような顔のスモーカーを、いぶかしそうに見つめるヒナ。

「うえの方だって、こんな噂が耳に入ったら、黙っていないでしょ。」
「俺がしむけた作戦だと言えばすむことだろう。
それに、もし、たしぎがあいつに振られでもして、麦わら達を追うのに、一層、熱が入りゃ好都合だ。
できてりゃ、それはそれで、使えるんじゃねえか?」

「それじゃあ、たしぎが、その男を好いていようが憎んでいようが、
あなたは構わないっていうの?」
かっかしながら、グラスを空けると、それを押しやりながら、
「マティーニ、辛口で。」と二杯目を頼む。

俺はこいつの他人(ひと)の為にこんな熱くなるような所に惚れたんだよな、と思いつつ、
スモーカーはゆっくりとグラスを口に運ぶ。
そして、ヒナを安心させるように、
「ああ、責任は全部俺が取る。」

「責任って。結局、辛いのはたしぎじゃないの。」
たしぎを思い、顔を曇らせるヒナ。
目の前に、マティーニが置かれると、「ありがとう。」と言って少し微笑む。
そんなヒナを、優しく見つめるスモーカーの、紫煙は途切れることなく漂っている。

お酒で濡れた唇が艶めいて、スモーカは目を留める。
「責任って、上司として?・・・それとも男として?」
少しだけヒナの瞳が揺らいだように見えた。

スモーカーは、何も答えない。

沈黙を嫌って、ヒナは自分の煙草に火をつける。

「ひどい男(ひと)。」
ヒナは、火をつけた煙草を、口にしないで消すと、立ち上がった。

「帰るわ。送ってくれなくていいから。」
代金とチップをグラスの脇に置くと、「ごちそうさま。」と言って、
店を出て行ってしまった。

スモーカーは、静かに煙をはくと、頭をガリガリかいてヒナを追うべく立ち上がった。
たしぎは、周りが見えなくなる程、恋に溺れる奴じゃねえだろ。
おまえと違ってよ。


*******

「何処に行くつもりだ?」
前を歩くヒナに声をかける。

後ろを振り返らずに答える。
「飲み足りないから、もう一軒、行くの。」
「じゃあ、俺も付き合う。」
「ついて来ないでよ。」足を早める。
スモーカーは黙って、ついていく。
「もう、何よ。」たまりかねて振り向くヒナ。

「一人にしておけるか。」その言葉にそっぽを向きながら、少し赤くなる。
「いや。」
「何が。」
「そういう、所が。」
「悪かったな。」

まだ何か言いたそうな顔をしているヒナを引き寄せる。
少しだけ抵抗しようとしたが、ヒナはスモーカーの腕の中にふわりと収まった。


〈きっと続く〉

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ワンピース大好き。
ゾロとたしぎは公認カップルと信じて疑わない。
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